院長 / つぶやき / 2018.6.9 23:17

こういう相談は困りますね。

最近はメールでの相談が多くなっており
こちらの聞きたいこと、検査データなどのやり取りをしてから
こちらの見解を相談者に告げる、という事をしています。
なので１回のメールやり取りでは答えは出ませんので
何度かやり取りをすることとなります。
こういう相談は回答しやすいんですが
しかし電話でいきなり
『ほかの病院で〇〇と言われた。これは手術しなければならないのか？』
こういってくる方がたまにいるんです。

まず私はその方の犬（か猫かもわかりませんが）を診察していませんので
〇〇と言う診断が正しいのかどうかもわかりません。
それゆえ手術しなければならないか、どうかの判断も出来るわけがありません。

日本語は正しく伝えなければならないと思っていますので
「手術した方がいい」のか
「手術が必要」なのか
はたまた「手術しなくても他の代替治療がある」のか
「開業医レベルでその手術は出来ない」のか
色々な疾患において答えが変わります。

例えば・・・
僧帽弁閉鎖不全症であるとしたら
「手術と言う方法もあるけれどそれは開業医レベルで行える手術ではない」そう答えます。
そして
「もしもあなたが手術を希望するという事であれば心臓外科専門医の診察を受けた方がいい」と答えるでしょうね。
そして
「一般的には投薬による内科治療を行う」とも答えます。

例えば・・・
白内障であるとしたら
「白内障の手術自体はできるが、これも専門医による診察が必要である」と答えるでしょうし
「老齢性白内障は手術の適応外となることがほとんどである」とも答えます。
しかし
「あなたがどうしても手術を希望するのであれば眼科専門医の診断を受けるべき」とも答えます。

例えば・・・
脳腫瘍であるとした
「まず脳腫瘍であるかどうかの検査を受けているのか？」と尋ねます。
それは脳のCT検査などになりますので一般開業には、少なくとも島根県内には
そんな施設はありません。
もしもCT検査を受けたうえでの話であるならば
「なぜそこの病院でその相談をしなかったのか？」と尋ねるでしょう。
私のような田舎の一開業医に出来る手術ではそもそもありませんから
そんな質問を投げられてもちゃんと受け止められるものではありません。
それでも何かを聞きたいんだ、と言う場合には
あくまでも一般論としての話はしますが
手術の細かなリスクなどは全く経験がないのでわかりませんから
きっと期待しているような答えは出せませんよ、と先に断っておきます。

何の情報もデータもない状態では
せいぜい一般論としての答えしか出せません。
自分で治療や手術経験のある疾患であれば
精密な回答は出来ます。
ただやはりデータは必要なんです。

胆嚢疾患であれば、他院で行った検査データを要求しますが
胆嚢炎については多分私の方が正確な診断が出来ると思いますので。
胆嚢炎の場合には他院で「手術しなくてもいい」と言われて困惑する飼い主さんが
圧倒的に多いんですが、こういう場合には手術を勧めることの方が多くなります。
胆嚢炎は手術以外に完治させる方法がありませんので
適切なタイミングでの手術は必要だと思ってます。
例えば私が手術が必要だと判断した事例でも
飼い主さんが手術を拒否するという事も実際にあるわけですが
それは飼い主さんの選択自由ですので強制はしません。
しかし「もうこのまま内科治療を続けるのは無理だ」と判断してますから
そういう事例の動物がその後どうなっていくかは手に取るようにわかります。

明確にわかるものに関しては責任もって回答できますが
そうでないものについては明確は回答は出せないんです。

よく言うんですけど
「私が獣医師ではなく、ただの犬好きのおっさんなら適当なこと言うよ」と。
獣医師と言う看板を背負っている限り私の言葉は決して軽くないと思ってます。
最終的には「実際に診察してからなら色々言えますが」というフレーズが口から出ます。

| comments (0) |