岡本動物病院

お問合せは0852-31-6119まで

院長のブログ

それって病気なの?

院長 / つぶやき / 2018.6.12 09:18

なんでもかんでも「薬」を与えるのはちょっとどうなの?と言うお話

例えば「老齢性白内障」
これは加齢に伴う変化であり「病気」として捉えるのはちょっと違うかな、と思ってます。
実際眼科の専門医の先生に聞いても「老齢性白内障の手術は基本的にはしない」と言うことでしたから。

先日「人間は手術しますよね?」と聞かれましたが
白内障については人間と動物とでは扱いが違います。

人の場合、視覚に頼って生きてますから
見えにくい状態から見える状態にすることには大きな意義があります。
しかし動物は人間のように視覚に頼っているわけではなく
嗅覚や聴覚の方が重要なので、見えにくい状態であったとしても
生活に支障はほぼありません。
実際ウチにも16歳・慢性腎臓病・白内障の犬がいますけど
相当ぼんやりとしか見えてないようですけど
特に生活に問題はないです。

老齢性白内障は徐々に進行していくもので
若年齢で起こる急性白内障とは違いますから
当の本人(犬)は急に見えなくなるということではないですので
飼い主である人間側が見えにくいことを理解して生活・飼育すればそれでいいんじゃない、と思います。
ただこれを病気として捕らえれば・・・

『治らない』とか
『手術は難しい or 困難』ってなことを口にしてしまうんでしょう。
そういうネガティブなことを言うよりも
事実を伝えておくほうが「親切」であり「学術的」だと思いますが。

例えば「肢端性皮膚炎」
病名としてつければこうなるんですけど、要するに
「指先をぺりぺろと舐め続けていた結果毛が抜けてきた」というものです。

問題なのは「何故舐めているのか」と言うことであって
「舐めた結果の脱毛」ではないということです。

多くの場合、患部の皮膚に炎症はありません。
稀に発赤や嚢胞が出来ていることもありますがこれも結果です。
要は「舐めなきゃいい」んですから原因を探ることの方が重要でしょう。
まして患部皮膚の炎症反応が見られない状態での
「痒み止め」とか「抗生物質」は何の意味もないと思います。

飼い主さんに聞き取りをしてみるとほとんどの事例で
「散歩のあと、家に帰ってから足を洗っている」と言うことがわかります。
つまり濡らしてしまって、乾かしたつもりがきちんと乾いてなくて
それが気になって舐めている、ということです。
グルーミングの一種と言えば言えるかもしれませんが
そもそも濡らしていなければ舐めることもないでしょうから
私が言うのは「散歩から帰ってからは濡らさず乾いたタオルで足の裏を軽くはたく程度」
にするかサークルの中に入れてしばらくそのままにしておくことで
毛についた汚れは取れますよ、と言うことなんです。

例えばサンダルを履いて歩いていてたまたまサンダルが脱げてしまったとしましょう。
その時にあなたはどうしますか?
あわてて家にケンケンしながら帰って足を洗いますか?
私なら足の裏を手でパンパンとはたいて終わりですが、と言うことをお話します。
もっとも潔癖な方は私のような対応はしないんでしょうけど
今まで反論を聞いたことがないですね。

どうしても洗いたいと言う方には(今まではいませんでしたけど)
洗面器にぬるま湯を入れてそこに足を入れてジャブジャブと洗い
その後乾いたタオルでパンパンとはたいて水気を取ってから
指の間はドライヤーを使って乾かしましょう、と指導します。
水気が残っていれば舐めますよ、と
あるいはドライヤーが熱すぎても舐めますよ、と言うのも付け加えておきます。

例えば「皮膚のイボ」
これも乳頭腫とか皮脂腺過形成とか色々ありますが
何とかするとすれば切除するしかないわけで
小さなものであればそのまま放置でもいいと思うんです。
人の場合は毛がないですからイボが例えば顔に出来ていれば
目立ちますけど動物には毛があるので触ってみない限りわかりませんし
そもそも痛くも痒くも無く、悪性でもないものに対して切除と言うことは基本的には必要ないです。

随分前にこのことで訴訟になったことがあったらしいですね。
聞くところによると合計20数回切除手術をしたということで
過剰診療で獣医が訴えられたらしいです。
この件については詳細を知りませんのでなんともいえないですが
必要ない手術や処置だったと言うことを認定されたようですから
事実そうなんでしょう。
私も日々の診療で「ここにしこりがあるんだけど」と言われたら
診察した結果、処置の必要ないと思ったらそのまま伝えます。
ただ大きくなってきたとか表面から血が出てきたとかいうことがあれば
すぐに切除したほうがいいよ、とも伝えます。
もちろん悪性のものではないことを確認済みの上での話ですから
実際に診察・検査してから出ないとこういうことはいえません。

腎臓病や心臓病などもそうなんですが
基本的には老齢性疾患である場合
加齢に伴う変化なのか、病的なものなのかの区別が必要だと思ってます。
要するに「線引き」です。
これならまだ治療せずとも大丈夫なのか
ココからは治療しなきゃね、となるのか。

早すぎれば却って体に悪い結果になりますし
遅ければ手遅れってことにもなりかねません。
そこのところの見極めをするのが獣医師の役割だと思います。

| comments (0) |

コメント

コメント投稿

【必須】



【必須】

  • トップページ
  • 診療について
  • 当院のご案内
  • 診療時間&交通アクセス
  • 避妊・去勢手術について
  • 検診のご案内
  • スタッフ紹介
  • お知らせ一覧
  • ニュースレター
  • お問い合わせ

院長のブログはこちらから

読み込み中・・・

このサイトはjavascriptを有効にしてご覧ください。また読み込みにお時間がかかる場合がございます。

Calendar

<< 2024年04月 >>

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
690-0015 島根県松江市上乃木4-29-21 Tel:0852-31-6119 (診療時間) 午前 9:00〜12:00 午後 4:30〜07:00 (休診日) 休診日は、日・祝日です。 (注)水曜日午後は手術日としており大きな手術を行っています。水曜日午後と夜間は電話が留守番電話に切り替わります。

当院は診療料金を現金の他、クレジットカード(VISA・MASTER)、WAONで支払いいただけます。

※支払い回数は1回のみです。
※WAONのチャージはできません。