漫画の世界ではありますが。
無縫というのは「ゴッドハンド輝」と言う漫画にでてきます。
「縫合したところがわからない」
つまり手術したかどうかがわからないような縫合部という事なんですが
縫合部は最初にメスで切ってますので出血があります。
この出血が全くないということはないですし
血液成分がないと傷もくっつきません。
そのため縫合部はどうしても白い筋状に残ります。
人の場合、外観上の問題と言うのは大問題ですので
時には形成外科医が丁寧に縫合して出来るだけ傷が残らないようにするようですね。
では動物の場合はどうなのか、と言うと
彼らは傷が残ったからと言って気にはしないでしょうけど
飼い主さんは気にします。
また明らかな傷を残すというのは個人的にちょっとどうなの、と言う気もします。
くっつけばいいじゃん、と言う縫合はしたくないですね。
傷を目立たなくするように皮下埋没縫合と言う方法もありますけど
当院ではこの方法を選択するのは野良猫や遠方の方の場合で
抜糸に来られない、と言う時だけとしています。
やはり皮膚をきちんと縫合した方が裂開する危険性が少ないですから。
今はもう常識的かと思いますが、糸で縫合するのではなく
ステープラーを使うことが多くなっています。
わかりやすく言えば「縫合用ホッチキス」という事なんですが・・・
ホッチキスと言うのは英語じゃありませんで
ステープラーと言うのが正しいんです。
しかしテレビでも「傷の縫合にホッチキスを使って・・・」などと
物知らずはアナウンサーが喋ってますね。
ステープラーを使う利点としては金属ですから「切れる」心配がないことと
外れる危険性も少ないことです。
しかし実際に使っていると、縫合部の傷が目立たなくなるという事に気付きます。
これは切開線に対して食い込むようなことがないからです。
糸はどうしてもくいこんでしまうので時には十字に傷がつくことがありますけど
ステープラーはその心配がないんです。
ステープラー装着時は金属が丸見えなので
一見すると「えぐい」傷に見えますけど
ステープラーを外してしばらくたつと
切開線の癒合部がホントに目立たなくなるのがわかります。
縫合部の裂開リスクが少ない。
癒合部が目立たなくなる。
しかも縫合に時間がかからない。
糸に比べれば多少経費は掛かりますけど
術者も楽ちん。
動物も楽ちん。
飼い主さんも楽ちん。
いいことばかりじゃないですか。
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