院長 / つぶやき / 2018.11.10 09:30

好きなものだけ与える、という事をしていると先々で困りますよ。

時々

「うちの子（ほとんどの場合は犬）はフードを食べないんです」

こういう飼い主さんがいます。
これは大きな誤解で過去に
『人間がドッグフード以外のものを食べさせた』
これが原因です。

甘み・塩味などフードには制限がかかっている「味覚」を
おぼえさせたことによって犬の頭に「味」の情報がインプットされたから
味のない・薄いものを「好まなくなった」という事です。

元気な時はそれで問題がない、と思っていても
年を重ねて内臓疾患が色々と出てきたときに
食事制限がかかりますが、その時になって
処方食を食べさせようとしても食べないですね。

例えば、腎臓病になった場合、蛋白質は制限します。
これが犬の腎臓病治療上絶対必要なことです。
しかし人間の食べ物しか食べなくなっている犬が
腎臓用処方食を食べない、となった場合
腎臓は加速がついて悪くなってきます。

またフードを食べない、と言う場合
「薬を飲まないんです」と言ってくるパターンが非常に多いです。

例えば、心臓病になった時、治療は飲み薬しかありません。
いや、場合によっては外科手術も可能かもしれませんが
数百万円かかる手術を受けますか？
それが現実問題として出来ない場合が圧倒的なため
心臓病については内科治療（投薬治療）がほとんどとなります。
そうなった時に、薬を飲まない、となればどうなると思いますか？
心臓は日に日に悪くなっていくわけですから
見た目には気付かないかもしれませんが
じわじわと、そして確実に心臓は悪くなっていきますよ。

本来の「飼い主と飼育動物」の関係性が正しいものであれば
飼い主が与えたものはちゃんと口にするはずです。

これは人間の親子関係に例えることが多いんですが
親が子供の体のため、健康のために考えて作った食事を
子供が文句を言って食べないという構図は
果たして「行儀のいい子」なのでしょうか。

私の母親は名言を残しました。

「食べられないものは出してない！」

だから私は今でも、食卓に出されたものは
基本的にすべて完食します。
自宅では、体調が悪いときに残すこともありますけど
自宅以外では、たとえ嫌いなものが出されても
「これ嫌いですから」などという事もなく
全ていただきます。

これは食事を作ってくれた人に対する礼儀だと
母親から教わりました。

これを動物に当てはめるのは無理なことではないと思ってます。
飼い主のいう事を聞くのが当然だと思いますから。
小さいときに甘やかして道を外れると
大人になって、高齢になってからそれを元の正しいところへ
修正するのは至難の業、いや無理かもしれません。

要するに・・・
今楽をするのか　将来楽をするのか、という事になります。

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