全国の病院、動物病院で行っていることなのに送付に関してはハードルがありますの
病理検査は確定診断のために、今後の治療方針を立てるために
必要不可欠な検査です。
検体としては摘出した臓器であったり、血液や尿あるいは糞便と言うこともあります。
検査依頼内容としては、癌かどうかの確認あるいは癌の種類特定であったり
感染症の有無であったり、様々です。
これらを輸送するわけですが、概ね宅配会社を利用するんです。
しかし大手民間会社では病理検体の輸送お断り、となってます。
どうしてそうなったのか、詳しくは知りませんけど
聞いたところによると、過去に中身が漏れてしまったことがあるとのこと。
摘出臓器の輸送の際には、容器に入れてホルマリン液に浸しますけど
容器が破損して中のホルマリンが漏れて出た、と言うことらしいんです。
ホルマリンは刺激臭が強いですので吸い込むと眼や喉を痛めますし
皮膚に付着すると炎症を起こすこともあります。
それゆえ、容器もガラス製を用いず(衝撃で割れますから)容器の蓋をきっちり閉めて
そして容器ごと厚めのビニール袋に入れて、その際に中の空気を抜いて
それをテープでぐるぐる巻きにして、緩衝材で周りをびしっと固めて箱詰めにします。
容器破損となると運送会社の方も被害を被りますが
検体を提出した側も検査できなくなるので困ります。
そのため上記のように厳重に包装してから発送するわけで
これもなかなかのコストがかかります。
現在病理検査検体輸送を引き受けるのは元国営会社だけとなってます。
それも、現実は「コソコソ」と送っているのが実情なんです。
内容を記入するんですが「癌の疑いのある肝臓」とか
「ウイルス感染症の可能性がある血液」なんて書くと
輸送を断られるらしいですので
内容は「検体」としか書きません。
要は「暗黙の了解」と言うやつなんでしょう。
発送元が「○○動物病院」と書いてありますし
送り先も「△△検査所」と書いてあるわけですから
中身がりんごやイチゴじゃないことぐらいわかるでしょう。
実際にちょっと厄介そうな検体を送るとなった場合には
検体と書かずに「#$%&」と書いて送ったらいいよ、などという伝説もあります。
体液が付着したものは「感染性物質」ですから
例えばそれを廃棄する場合も厳密言えば「感染性廃棄物」として処理しなくてはなりません。
そして感染性物質を輸送すると言う場合、特殊なケースに入れて輸送することになっています。
と言うことは血液などの「生」の検体の場合には
いちいちそうやって送る必要があるわけですが
そうなると宅配便とは比較にならないほどの手間と時間とお金が掛かります。
検査結果は出来るだけ早く欲しいんです。
それを見てその後の治療方針が決まるわけですから。
そして輸送に掛かるコストも出来るだけ抑えたいわけです。
そのコストは患者さんが負担するわけですから。
今後なにかしらの原因で検体輸送が現状の方法がとれなくなっても困ります。
必要最低限のルールを、法律レベルまでは必要ないですけど、決めておいたほうが
配送会社、送り主、荷受人にとっていいんじゃないでしょうか。
そしてこういう検体輸送を引き受ける会社も
こういう風にして梱包してくださいよ、と明確にしてくれたほうが助かります。
暗黙の了解と言うやつも、それを理解しているもの同士であれば
アイコンタクトでOKなんですが、時に空気を読まない人間が関わってくると
面倒なことになりかねません。
なぜなら今の方法は違法ではないけれど合法ギリ?と言う感じがしますので
「それはおかしい」と言い出されたら一切の配送中止なんてことにもなりかねません。
今までの方法がいつまでも粛々と続いてくれればいいんでしょうけど
なんとなく引け目を感じつつ、と言うのは個人的には生に合わないです。
先ほど元国営会社から問い合わせの電話が掛かってきて
今までの流れを見てからにしろよ、と思いましたので・・・
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