臨床症状と合致するか、と言うところが大事です。
血液検査はすべて数値で表されます。
それぞれの項目には正常値(範囲)がありますけど
これを超えていれば「異常値」となりますが
だからと言ってそれが身体の異常を示しているとは限りません。
私の場合、例えば胆嚢摘出手術をした犬では
術後検査の際に肝臓酵素が正常値以上になることが
手術事例の約半数で見られますけど
その時の犬の状態は、というと「体調良好」ですので
数値に関しては「肝臓の修復途中」と判断します。
そして薬などを投与することもないんですが
しばらくたって再度検査すると正常値となっています。
これは手術時の肝臓の状態、手術の際のダメージの大小によって
修復するに時間がかかる場合もある、と考えています。
肝臓は「ショック臓器」としても有名で
体に対するあらゆるダメージが肝臓に現れます。
だから血液検査での肝臓系酵素の数値が高いからと言って
それが肝臓が悪くなっていると考えるべきではないと言うのが
学問上の常識なんですが、中には数値にとらわれすぎる獣医もいます。
それが悪いとは言いませんけど、ちょっとどうなの?と言う気もします。
経験上、こういう場合の投薬継続にはやや否定的に考えています。
肝臓が弱っているとするならばそういう時に薬を与えると
却って数値上昇が続くと言うこともあります。
ただ薬を止めてみるというのも勇気がいるんでしょうけど
そもそもきちんとご飯を食べているのであれば
薬はいつでも止められるとも言えます。
肝臓は再生力旺盛な臓器としても有名です。
とは言え必要以上の負荷をかけると
肝臓が悲鳴を上げますね。
人の場合では肝臓の悲鳴は酒の飲みすぎで起こります。
皆さんもご注意ください。
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