院長 / つぶやき / 2020.1.30 16:24

誰でも嫌ですよね。

ネットのニュースで、神奈川県の開業医（医師・歯科医師）のうち
約20％の人が「辞めたい」と思っているとありました。

普通の感覚から言えば「？」と思うでしょうね。
医師・歯科医師でしかも開業医とくれば
いい車にのっていい生活をして
いわば「セレブ」感満載、でしょうから。

確かにそういう方もいるんでしょうが
全ての人がそうではない、と言うことなんだと思います。

ただ「辞めたい」と言う理由ですが
「労働時間が長すぎる」と言うことらしいです。

医師・歯科医師は我々獣医師と違って
基本的には保険診療です。
政府の意向で保険診療費と言うのは変わってきますが
それに逆らうことは出来ないわけです。
この保険診療費がドンドンと安くされていっています。
それによって我々が病院に掛かる費用は安上がりになって
こちら側からすれば結構なことなんですが
病院側からすれば同じ診療件数・内容をこなしていたら
それ以前よりも診療費用が安くなっている分
実入りは少なくなるわけです。
それを補うには、診療件数を増やすことがいいんですが
それはつまり「患者を増やす」と言うことです。
そうは言っても病人が早々増えるわけではないです。
かといって病人ではない人を病気もちにして
治療（こういうのは治療とは言わないですが）するとなると
これは「嘘つき」ってことになります。
それではどうするか、ということで
診察時間を延長する、あるいは時間外診療を受けるようにする
ということで診療件数を増やそうとするわけですが
その結果「働きすぎ」となってしまうわけです。

診療件数が変わらない、でも診療費を増やしたいということで
一時問題になりましたが、不必要な検査を増やして
診療費を上げる、つまり過剰診療という方法も
かつてはありましたが、今は（多分）そんなことをしても
レセプト（診療内容をチェックするところがあります）の審査が
通らないんじゃないでしょうか。

医師の場合は大きな総合病院での勤務医と言う手もありますが
歯科医師は基本開業医となるしかないですね。
この点は獣医師と同じだと思います。

歯科医師の場合は医師の場合とはちょっと違うかもしれません。
と言うのは、これも随分前から言われていますけど
「飽和」なんです。
病院の数が多すぎるんです。
一時は「コンビにより多いんじゃないか」と揶揄されていましたが
今はコンビニのほうが多いんでしょうね。
でもコンビニも店をたたんでしまうところが多くみられます。

特定の地域に病院の数ってそんなに多くあっても
これまた患者の取り合いとなってしまいます。
ただ歯科医師の場合は保険適応外治療と言うのがあります。
例えば「インプラント」などがそうだと思いますが
こちらは保険での一律費用ではなく
自由診療ですので価格は自由に決められます。

法律的には保険診療と自由診療を一つ病院で
両方するというのは混合診療と言って違法なはずなんですが・・・

それはさておき事実上自由診療項目もあるわけで
そちらを増やせば収入アップとなる・・・わけですが
難しい技術を要する処置となると
個人の技術を問われます。
実際インプラント手術のトラブルも多数有るようですし。

我々獣医師は保険診療（ペット保険とは別ですよ）の恩恵を預かっておらず
すべてが自由診療です。
つまり診療費をいくらに設定するかは個人の自由なんです。
ただ馬鹿高い設定をして、それで収入が増えるのか？というと
そんなわけないですよ。

以前は薄利多売方式の病院がありまして
それが通用していましたが
動物病院の数が増えれば１病院の診療件数は当然減ってくるわけで
こちらも同じく患者確保に精を出すとなるんですが・・・

そもそも健康であれば病院に行くことはないですね。
病気が増えると言うこともそうそうありません。
平和に暮らしていければ一番良いんですが
病院側からすれば病人が増えることで収入が上がるという
なんとなく矛盾があるわけです。

獣医領域でもそのことは随分前から言われていまして
最近では「生き残りのための病院経営」なんてセミナーも行われていますね。
あんまり興味ないですけど。

患者が多すぎて忙しいのは嫌だ、と言うことを言ってみたり
患者が減ったから時間外労働が多くなったから嫌だとか
人によって色々な理由はあるんでしょうけど
自分のできる範囲内で職務に励めばいいんじゃないでしょうか。
獣医師と違って医師・歯科医師は平和な世の中に
絶対必要不可欠な存在なんですから。

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