岡本動物病院

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院長のブログ

サプリメントにエビデンス

院長 / つぶやき / 2020.3.16 22:06

何でもかんでもエビデンスとはこれいかに?

エビデンスとは医者や獣医がよく口にする言葉ですが
意味は「明白な事実」ということで、それがあれば錦の御旗って感じに使われています。

確かに科学にはエビデンスの存在は必要です。
しかしその時代時代で変わるのもこれまた事実です。
かつて、癌は寄生虫感染によるものだと言うことが評価されたことがあります。
実際にはそんなことはないわけですが、その時代にはそれが信じられたわけです。

最近耳にして、これは硬派だなと思ったのは
ある学者さんが言われた一言です。

『論文に書かれていることの90%はデタラメだ』

実際にはもうちょっと緩やかな表現だったかもしれません。
でもこれを聞いたとき「学者がこれを言うか」と。
私は右向け右と言われると左を向きたがる人間なので
この言葉は痛快でした。

論文は世間に向けて自分の研究成果を公表するもので
科学の進歩には必要不可欠なものだと理解しています。
そして現場ではそれに基づいて治療がなされているわけで
現場の人間にとっては論文は「偉い先生が書いたもの」なわけです。
その偉い先生が有名であればあるほどその方の論文は高評価になるわけですね。

それはそれとして
論文も新しければ新しいほど高評価になるようで
その真意は今一つ理解しきれていません。
古いからと言ってそれが「間違って」いなければいいわけですから。
新しいものが好きなのは人間の性なのかなぁと思ったりもします。

薬の使い方は教科書に書かれている通りにする、と言うのが基本です。
その使い方にはエビデンスがあるわけですから
要するに「効果がある」と証明されているから書かれているわけで
実際に現場でもその通りにすれば期待通りの結果がでるものです。
しかし時にちゃんと使ってるのに効果がない時もあります。
そこで考えるのは薬が効かない理由です。
効かないからと言って勝手に量を変えるのはエビデンスから外れますので
自分の診断が間違ってるんじゃないかとか
別の病気があるんじゃないかとか、そういう方面を考えた方がいいんじゃないかなと
私は思っていて、実際にそういうことは多々あるわけです。
そんな時にはすぐに自分のしてきたことを振り返って
診断からやり直し、と言う事をします。
本来ならそんな外れをしちゃいけないんですけど
判断ミスというより見落としってのがあるわけです。
すぐに修正すれば大事になる前に軌道修正が出来るかもしれません。
またそうすることが専門家としての責任かと思ってます。

日々診察をしていて、これは治らないなと言う病気がたくさんあると言うことを知っておいてもらいたいんですが
例えば慢性腎臓病。
これはどうあがいても元に戻すことは出来ません。
ではどういう治療をするのか、と言うと
「出来るだけ現状維持をめざし、病気の進行を遅らせる」と言う事です。
それが出来れば、最高に上手くいけば天寿を全うすることもできる、はずです。
そのためにはあらゆる手段を講じますが
その際に考えるのは「動物の体に負担をかけないこと」と
「飼い主さんの手間を出来るだけ多くしないこと」と思ってます。
だから腎臓病の場合には、まずは食餌療法からです。
これは両方の目的を達成可能です。
ただなかなか食べないと言うことも多々ありますが。
そして蛋白尿があれば、高血圧があれば、腎臓内血流が悪くなれば
それぞれに応じた薬を投与します。
それにより悪くなりつつあるところを封じ込めるわけです。
ここまではエビデンスのあることですが
例えばサプリメントについて、エビデンスがないから使わないと言うことを言っている獣医、専門家がいまして
彼らにとってサプリメントは怪しい治療と言うことになるのかもしれませんが
例えば吸着剤の使用と効果については腎臓病の専門医も使っていることがあるわけで
それはダメなんでしょうか?
サプリメントを製造・販売しているメーカーの話をじっくり聞いてみたことがあるのかな?と
不思議に思いますが、メーカーはちゃんとしたデータを持ってます。
その結果「効果がある」ことを立証しているわけで
それを持って販売許可を得てるわけです。
もしかして「薬じゃないからダメ」なんてこと・・・はないと信じたいですけどどうなんでしょう。

腎臓病は治りません。
でも治療は必要です。
そのためにはあらゆる手段を講じます。
サプリメントの効果?
ありますよ。
サプリメントを使用して以降の検査データがそれを物語っていますから。
サプリメントの効果についてのエビデンス?
あるでしょ。
メーカーがもってるでしょ。
論文があるかって?
そんなん知りません。
きっとあるんでしょうけど、ないとしたら使っちゃダメなんですか?
それを使うことでQOLが改善し、動物も元気を取り戻すと言う事実がたくさんあります。
だから使っているわけで、それじゃダメなんですかね?

私も昔はサプリメントなんて・・・ケッ!って感じに思ってました。
でもそれは食わず嫌いと言うヤツで、メーカーの話をじっくり聞くようになってから考えを変えました。
そもそも人の話をちゃんと聞かないと言うことが悪いわけです。
ちゃんと聞く耳を持っていればそれの真偽はきちんとわかるわけです。
だから今はいろんなサプリメントについて、いちいちメーカーの方から
勉強会と称して説明を受けることにしています。
話を聞いて疑問に思ったことはその都度確認を取るようにして
こっちが納得いくまで説明を求めます。
その結果「合格」となったものだけを採用するようにしています。
だって効果が全くないようなものを皆さんに買わせることなんて出来ませんから。

実は明日、とあるメーカーの「勉強会」があります。
ウチで勉強会をする時には各メーカーの担当者は
「超緊張」するそうですけど、どうしてでしょうね?

全ての病気を治すことは残念ながら出来ません。
そこで目指すのは
1:自分の口で食べること
2:自分の足で歩くこと
3:自分の意志で排泄をすること
この3つです。

仮に心臓病であれ、腎臓病であれ、癌であれ
日々の生活が「普通」に出来ることを目指す
これが治療だと思ってます。
そこには特にエビデンスとやらを私は求めていません。
要は「良くなればいい」と、いささか乱暴かもしれませんが
臨床医としてはそれを目標としてますから。

かといって適当な事は何一つしてないですよ。
ご安心ください。

| comments (3) |

コメント

まいねこさん こんばんは。

現状では食事はそのまま腎臓用を与えてください。ウロアクトについては当院でも積極的に使ってます。このサプリの効果は簡単に言うと「腎臓・尿管・膀胱にある小さな結石を体外に排出する」というものです。実際当院で、全例ではないですが、尿管結石が排出されてと言う事例が複数あります。薬ではないので長期投与も安全ですよ。

岡本宏之 / 2020.3.21 20:45

| EMAIL | URL | iBAzvxqo |

つづき

今この子の苦痛は
嘔吐と痛いと言っているような
鳴き声を出している事です。(膀胱炎?)

便秘解消(モニラックで対応)
と1日2回オシッコを
出るようにしたいのと
結石と腎臓病付き合い方を
先生に聞いて看病してやりたいです。

「ウロアクト」という
サプリメントをネットで
見つけましたがこのサプリは
どんなものでしょうか?
2匹目の猫に有効なら使ってみたいですね

まいねこ2 / 2020.3.21 15:12

| EMAIL | URL | QEaNn7XA |

岡本先生、こんにちは。

先生の記事は毎回、為になる事ばかりで
更新が待ち遠しいです。

さてまたまた
私の飼い猫の件の相談で
コメントいたしました。

前回のコメントのやりとりで
2匹目のメス猫ですが
(腎臓とオシッコ出口辺りに石があり
嘔吐がたびたび有とお話した猫)
(CRE2.76 BUN40.0 リン4.1)
先生はこの数値で嘔吐が頻発
するとは思えなく、腎臓の結石
が関係してるのかも・・と
言って頂きました。この
ご意見に耳を傾けてみたいのですが
結石に対して
食事療法をするにも現在の腎臓病の事もあり
尿路結石用の食事に含まれる
ナトリウムも気にかかり今の
腎臓病食から替えていません。

手術で結石も取り除けないので
私に出来る看病は先生何かないでしょうか?

今この子の苦痛は
嘔吐と痛いと言

まいねこ / 2020.3.21 15:10

| EMAIL | URL | QEaNn7XA |

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