院長 / つぶやき / 2021.2.25 16:18

これってホント？と言うお話。

他院でそのように言われて他の病院を探しています、と言う感じで
電話がかかってくることがたびたびあります。

2ヶ月（時には3ヶ月待ち）と言われ
言われたほうは「そうか・・・そんなに待てないな」となり
「じゃあ他にすぐやってくれる病院を探そう」となるんでしょう、が

ホントにそんなに大忙し病院があるんかいな？と疑問に思いましょう。

私の知っている病院でのお話ですが
ある病院は、ホントに患者さんが多くて
駐車場に警備員さんが配備されています。
それだけの患者さんがいるにも関わらず
そこの先生は「手術（特に不妊手術）は断らない」と仰ってました。

私が昔勤務していた病院も相当忙しいところでした。
繁忙期には1日100件以上の患者さんが来てまして
それを院長と私の二人で対応してたんです。
とはいえ私は大学出立てのペーペーですから
ほぼ戦力になっていませんでした。
そんな状況でも不妊手術の依頼を断るどころか
即日手術がほとんどでしたね。
手術の予約などと言う制度が無かったですから。

これらの先輩方と比べると当院などは全然足元にも及びません。
当院の過去の実績をひっくり返してみると
大小関わらず手術件数が一番多かったのは
年間240件という時がありました。
随分前のことですが、予約手術もあれば
緊急手術もありで多い日は1日4件という時もありました。
もちろん獣医師は私一人ですし
当時は今のように手術日を設けていませんでしたから
大変だと言えば大変だったかもしれません、が
大変だったと言う記憶はないんですね。

通常不妊手術は緊急性の無いものですけど
例えばペット禁止のアパートで内緒で飼っている場合
鳴き声で飼育がばれてしまうかも、と言うこともあります。
賃貸契約は私には関係のないことなので
ばれないうちにすぐに手術をしたいという飼主さんの
意向は尊重しなければなりません。
またマーキングなどがあってすぐに去勢手術を、と言うこともあります。
そんな状況を2ヶ月も先送りにするなんてことも出来ません。
はたまた近所の野良猫の手術ということもあります。
捕まえるのも大変なことですし、そもそも手術費用を負担する義理も無いわけですが
猫が増えるのは困ると言うことでの手術依頼があります。
そんな場合も苦労してせっかく捕まえたのに2ヶ月先なんてことは
人としては口には出来ません。
現在もそういう方がいらっしゃいまして
「捕まったら連絡下さい」としています。
その場合は連れてきてもらった日、遅くとも翌日には手術します。
野良猫の場合そもそも人慣れしていないので
通常のペットよりも入院ストレスが強くかかりますから
ほぼ「タッチ＆ゴー」ですね。

飼主さんの都合で手術を先送りと言うことはありますが
病院の都合での先送りはあってもせいぜい1〜2週間ってとこじゃないでしょうか。
もちろん動物の体の状態が悪いのでそれが改善してから、ということもあります。
その場合は手術そのものがダメと言う場合が多いですけどね。

治療としての手術で、緊急性があるとか急ぐ必要がある場合には
出来るだけ早急に対応するというのが普通だろうと思います。
私の友人の病院では日中は予定手術があり時間が取れないとなると
夜診療が終わってから手術すると言ってましたし
実際私もそうしてました。
ただ当院では胆嚢手術が3日続いて、それも夜間に行って
こっちがフラフラになってしまいコリャダメだということで
水曜日を手術日として午後に集中して実施するようになったという経緯があります。
個人の開業医で手術日を設定すると言うところは
多分少ないと思いますが、こちらの体と精神はとても楽になりました。
まれに手術がない水曜日もありますが
この時は婦長も早く家に帰れますし問題はありません。
実は昨日予定の無い水曜日だったんですが
午前中に歯周病の猫が来院しまして
すぐに処置をしないとダメだなと言う状況だったので
「今日午後からすぐにやりましょうか？」と言うと
飼主さんは予定外のことではあったでしょうか
大変喜ばれまして。
こういう対応がかかりつけ医の真骨頂ではなかろうか、とも思います。

結局のところ、何かしら手術を断る理由があるんだろうな、と思いますけどね。

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