岡本動物病院

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院長のブログ

勝負をかけました。

院長 / つぶやき / 2022.8.17 21:36

とんでもないトラブルでしたが

先日我が家の犬のフィラリア摘出手術をすることになったんですけど
とんでもないトラブルが起こりまして。

フィラリアの摘出手術は頚静脈からアリゲータ鉗子という手術に特化した器具を
レントゲンの透視装置を見ながら心臓へ挿入し虫体を手探りで摘出するという
なかなか難度の高い手術なんです。

フィラリア手術自体実に久しぶりでその間レントゲン透視を使う機会が
なかったので手術前に、まず機械がちゃんと作動するかを確認し
画面に描出される画像の調整をしていました。
機械の動作確認は出来たんですけど画像調整が今一つでしたが
そのまま手術することにしました。
麻酔をしてレントゲン台の上に犬を置き皮膚を切皮して
頚静脈を取り出してさあいよいよ本番、となった時
透視装置がいきなりダウンですよ。
さっきまで動いていたのに本番になっていきなりです。

さあ一瞬パニックですよね。
さあさあどうする? 手術は中止するか、それともこのまま続行するか。
続行するにしても心臓が見えないのにどうやって手術するの?と頭をフル回転です。

そして結局「このまま続行じゃ」と。

この手術はまず心臓内へ鉗子をきちんと挿入しなければなりません。
頚静脈からまっすぐ入るならそれでいいんですけど
実は心臓の手前で別のルートが1本あって
透視でそれを回避しないとうまく心臓へ入れることが出来ません。
ただ久しぶりの手術とは言えこれまで100例以上の経験がありますので
心臓への挿入はなんとかなるだろうと予測しました。
そしてこれが一番の大問題ですが、心臓へ挿入させた後
右心房内にいる虫体を掴まなければなりませんが
鉗子を右心房で止めないとどんどん入れていくと三尖弁を通り抜け
右心室へ入ってしまいます。
右心室には虫体はありませんのでうまく右心房内で止められるかどうか
透視で心臓が見られないのでそれをどうやるかが問題でした。
要するに「勘」です。
鉗子の先を三尖弁へ向かないように頭の中でイメージして
右心房の壁に突き当ててそこから手前に少し引いて
フィラリア虫体を掴むことが出来れば・・・と考えました。

これは勘と書きましたが、ほぼ頭の中で心臓の画像をイメージして行いました。
そして無事に虫体はすべて摘出することができたわけですが
こんな無謀なことはうちの犬だからしただけで
通常であれば手術は中止します。
結果的にうまくいったわけですが、心臓を見ないで器具を心臓に挿入するなど
無謀以外の何物でもありません。

上手くいったからよかったようなものではありますが
でも勝算がなかったわけでもないんです。
これが過去の経験だろうと思います。
開業して直後から幾多の修羅場をくぐってきましたから。

ただ今回は右心房内にのみフィラリア虫体がいたので
こんな無謀な手術が可能でしたが、もっと奥の肺動脈にいた場合には
さすがに透視がなければ100%不可能です。

わずか20分足らずの時間でしたが
多分1年分の冷や汗をかきました。

今度いつ使うのかわかりませんが近々透視装置の修理をしないとダメですね。
なぜ夏になると機械ものが不調になるんでしょう・・・

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