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院長のブログ

昭和の時代・・・今思うと

院長 / つぶやき / 2022.9.28 21:16

悪くはなかったけどな、と思ってます。

令和の時代になって昭和の頃の出来事はすべて「ダメ」と言われる感じがしますけど
個人的には「そうかなぁ」と思ってます。
確かに今の方が正直に言えば「無難」だとは思いますけど
スリリングな出来事もあったわけで、すべてがいいとは言いませんけど
貴重な経験も出来たしな、と思ったりもします。

これは私自身が経験したことなので要するに「事実」です。
似たような経験をした人もいると思います。
特に体育会系の方は。
それが当たり前の時代でしたからねぇ。

中学から野球を始めて高校でもちょこっとだけやってました。
まあ、途中で辞めちゃったんですけどね。
その短い高校野球時代の出来事です。
1年生で補欠も補欠ですので練習中は先輩の邪魔にならないことだけ考えてました。
今の時代なら科学的なトレーニングや食トレなんてのもあり
体力も技術も容易に身につくのかもしれませんが
昭和は精神論、根性論が正義でした。
それ自体は悪くないと思っているんですよ。

夏の大会前の追い込み練習の時のことですが
毎日暑いし練習は厳しいしでくたくただったんでしょうね。
ある日、練習中に監督から全員が呼ばれて
要するに「たるんでいる!」ということで
罰としてベースランニングをするよう指示が出ました。
今ほど暑いわけじゃないですが気温は30度超えてたんじゃないでしょうか。
それも練習の途中ですので、もうその時点でくたくただったんです。
先輩たちは1年の我々よりも厳しい練習を乗り越えてますので
体力的には圧倒的な差があったと思いますがそれでもここでのベースランニングはきつかったと思います。
もちろん昭和ですので練習中に水を飲むなんてことは出来ませんでしたよ。

その状態で始まったわけです。
ベースランニングはホームから一塁、二塁、三塁と回ってホームに走って
それも全力疾走で帰るだけ、なんですが
直線ではなく膨らんで走ることになるので距離としては約120mぐらいになるかと思います。
それを3年生、2年生、1年生と順番に休むことなく走りました。
私の記憶が正しければ多分17周したところで「もう終われ」の声がかかりました。
計算してみると走行距離は約2000mですね。
3年生、2年生はさすがです。誰一人脱落することなく完走ですが、
1年生は2人リタイアです。

リタイアというと表現が柔らかですね。

倒れました。
しかも一人は嘔吐しながら。

体力の劣る1年生なら仕方ないでしょう。
ちなみに私は最後まで完走しました。
これは補欠の根性を見せないと、という思いと
脱落したら後が怖い・・・という恐怖心に煽られてました。
当時は練習終了後の先輩からの「呼び出し」が一番怖かったですから。

とは言え無事に走りぬいたというわけでもなく
倒れそうにもなりましたし、意識がぶっ飛びそうにもなりました。
ちなみに疲れた時には立ったまま両手を膝につけて休むことが普通ですけど
1年生にその姿勢は許されていませんでした(笑)。
それでもたったままふらふらしていると先輩からの温かい(?)罵声が飛んできます。
そんな状態で走り回っていたわけですが、当時から眼鏡をかけていたので
汗が滝のように出ますので顔をぬぐうと同時にちょっと楽な体勢をとって休憩とってましたね。
そんな中何週目かわかりませんけど突然汗が出なくなったんですよ。
と同時に「もっと走れるぞ」という感情が出てきました。

はい。
熱中症です。

しかも今だとよくわかりますが
とても危険な状態です。

汗が出なくなったのは極度の脱水のためで
もう出るものがなくなったからです。
そしてハイテンションになったのは軽い脳ダメージで
それをごまかすために脳内麻薬が分泌されている状態です。
ランナーズハイと言われる現象のぶっ飛んだやつですね。

もうちょっと言うなら死ぬちょっと前だったと思います。
あと2,3周で逝ってたかもしれませんね。

監督から終了の合図が出た瞬間に
ハイな状態から解放されたわけで
次の瞬間思ったのは

「死ぬかと思った」 でした。
まあ死ななくてよかったですけど。

今こんなことをさせたら世間から大バッシングでしょう。
それに選手ももたないんじゃないでしょうか。
今の選手の方が昔より圧倒的に上手いです。
レベルが違います。
合理的な練習の成果だと思います。
昔の選手はその点では逆立ちしても敵いませんが
いわゆる根性だけは持ってたんでしょうね。
もっともそんなものだけじゃ上達はしませんけどね。

でもあの時の経験はその後の人生を考えても無駄じゃなかったと思います。
いわゆる限界ぎりぎりを覗いてみたぞと思ってますから。
だからこれまでもいろんなことがありましたけど

「まだ大丈夫」と思い込んで乗り越えてきたことが多々あります。

そんな経験が生きたのは大学院の時、国家試験の勉強中でした。
そんな中、昭和天皇崩御がありましたのでギリギリ昭和の話です。

獣医師国家試験には何が何でも合格しないといけません。
一応合格率は90%なのでよほどのことがない限り不合格ということはないんですけど
それでも当時そんな風に考える余裕なんてありません。
もしも落ちたら・・・と考えると恐怖だけです。
実際精神的に追い込まれる人も出てきますから。

そんな状況で過ごした試験前1か月の生活ですがほぼ寝てないんですよ。
正確にはちょっとは寝ましたけど。

1日は24時間ですね。
私が勉強に費やしたのはそのうち20時間です。
残りの4時間で食事をして休憩をしてました。
寝てないというのは布団に入ってないってことです。
当時OBの方からもらったソファーを持ってまして 生意気にも。
そこで横になって教科書を読みながら休憩してました。
机に向かってない状態を休憩と称してました。
そのままソファーで寝落ちですね。
ただし無理な体勢でしかも仰向けで天井側に重たい教科書を持ってますから
そのまま寝落ちすると顔面に教科書が落ちてくるわけで
それで目が覚めるという非常に合理的な寝落ちをしてました。
1回の寝落ちタイムはせいぜい5分から10分程度でしたね。
それを何度か繰り返していたので1日の睡眠時間は1時間ぐらいはあったんでしょう。
もちろんそんな生活をしていてなんともないわけがないです。

血尿が出ましたから。

でも寝てられないんです。
寝てる暇があるなら勉強しないと試験に落ちるかもしれないという恐怖の方が勝るんです。

体重もがっつり落ちましたね。
体重計を持ってなかったのでどれぐらい落ちたかわかりませんが
ズボンがぶかぶかになりましたから。

この時も身体的限界は近かったと思います。
それよりも精神的限界の方がもっと近かったかもしれません。
もうちょっとであっち側に行ってたかもしれませんね。

それで国家試験が終わり、帰り道で缶ビールを買って
一気飲みしたら地球がぐるぐる回りだして
歩くのもやっとこさ状態になり途中からタクシーに乗って帰路につきました。

なんであそこでビールなんか飲んじゃったかなぁ、と後で後悔ですよ。
これはこれで危なかったと思います。

それでアパートまで何とかたどり着いて玄関を開けて
はいつくばってGパンを脱いで上着を脱いで
這ったまま布団にたどり着いて中に潜り込んで・・・・
そこで意識が飛びました。

その後のことはちょっと記憶にないんです。
いつ目覚めたのか、次の日は何してたのか全く覚えてません。
もう脳の許容量をはるかに突破してたんでしょうね。

まあこんなことを経験したぞ、とほかの人に自慢するようなことではないですし
今どきの若い者は、という気もさらさらありません。
自分でしたことですから(ベースランニングはやらされたことですけど)。

でも過去のこういう経験はその当時しかできなかったわけで
今もう一度やってみろ、と言われると全力で拒否しますよ。
ベースランニングも勉強も。
でもあれを経験したんだから今目の前のことは
何とか乗り越えられる、という自信は持てます。

若いころにした経験は貴重です。
年を取ってからだと無理です。
でも同一人物の経験ですから

「何とかなる」と自分を鼓舞することが出来ますね。

そんな経験をしてきた昭和は私は嫌いではありません。
気合と根性だけで乗り越えた時代です。
それしかなかった自分です。

それでも

一線を越えなくてよかった・・・と思います。
ホントにやばかったんですから。

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