病気になったからこういう治療をします、ということでしょう。
確かにそれはその通りだと思います。
それが我々の仕事であり役目だと思います、が
ネットでもそういうことはたくさん記事があります。
先日「猫が慢性腎臓病になったら」って感じの記事を見ていて
病気の説明があり、治療方法がいくつか書かれてあり
それは情報として間違いではないのでいいんじゃないとは思いました。
しかし個人的には「現在に至るまでの経緯」つまり過去に立ち返って考えてみると
何かしら落ち度というか原因があるのかも、と思うわけです。
病気になるかならないかは、こうしたら間違いなく病気になるというものではないです。
例えば「煙草を吸うと必ず肺がんになる」ということではないですね。
正しくは「肺がんになる可能性が高くなる」ということです。
それゆえ実際には煙草を吸っていても肺がんにならない人もいるわけです。
医師の側からすればリスクが高くなるということを重要視するわけで
煙草はやめましょう、という話になると思うんですよ。
もちろん煙草の害は肺がんだけではなく呼吸器系、歯科領域にもありますから
それらすべてをひっくるめていろんな病気になるリスクが高くなるということだと思います。
それと同じことで、病気になるより前、つまり元気に暮らしている段階で
将来の病気のリスクを減らすこと、これが大事なんじゃないかなと思っているわけです。
人間は自分の意志でいろんなことをします。
先ほどの煙草などいい例で、自分の意志で吸う吸わないを決めますが
飼育動物はそうじゃないわけで、飼い主さん次第ということですので
将来の病気のリスクを減らすことが出来るかどうかは飼い主さんにかかっていると思うわけです。
そう思うからこそこちらとしては少々、いやかなり耳障りなことを口にしているんですが
それを受け入れる人もいればそうじゃない人もいますが
そこは強制できるものではないので仕方ないことかもしれません。
先日1歳の犬の健康診断の依頼があり実施しました。
最初に飼育段階の時に、食事管理についてきちんと説明をしています。
1歳ですから正直体に異常があるわけがないんですけど
検査をしてみると「あれ?」という点がありまして
今のところ病気ではないけれどその「芽」があるな、という感じでした。
飼い主さんに検査結果について説明をしている時に
この点について話をしていて「それは何が原因なのか」と聞かれたので
この年齢で言うならば食べ物が絡んでいることが多いよ、ということで
例えばこういうものを口にしているとリスクとなる、という話をしたとたんに
顔色が変わったので「やってんの?」と聞くとYESの返事でした。
食事という言葉の意味の取り違えってことかもしれませんが
我々が言う食事というのは「口に入れるもの」です。
当然飲み物も入ります。
時に「主食」と「副食」は別物と思っている人がいます。
主食はきちんとしたものを与えている、ということなんでしょうが
問題になるのは副食の方ですから。
そういう点について再度解説をすることになるんですが
それで正しく理解してもらえばいいわけで
それで将来の病気のリスクが減らせればそれでいいと思います。
元気な時からちゃんとしよう、ということなんですが
元気な時ってついつい、ってこともあるんでしょう。
でも病気になってからだと健康体に戻すのは正直難しいです。
先の慢性腎臓病などはもう正常には戻せません。
過去に調べたことがあるんですが
食生活と疾病の因果関係についてなんですけど
これは食事内容とそれに関しての飼い主さんの関心度も絡んできます。
結論から言えば相関関係は「ある」なんです。
30年以上臨床をしてきた人間としては
病気になることは出来るだけ防ぎたいと思いますし
そのための知識の提供もしたいと思ってます。
それが健康長寿となる一助となるなら幸いですよ。
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