岡本動物病院

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院長のブログ

膵炎

院長 / つぶやき / 2014.4.2 16:46

ちょっとしたことがきっかけで起こります。
怖い病気です。

ここ最近、膵炎もしくは膵炎疑いの症例が続いたのでちょっと書いてみます。

まず、膵臓なんですが、これは胃の次に続く十二指腸にくっついている
一見脂肪のような組織で、白っぽい臓器です。 実際にはこのようなものです。

ココでは食べ物を消化する酵素を作って、十二指腸へ放出します。
この消化酵素と言うのが強烈な「溶解」作用がありまして、蛋白質・脂肪を細かく溶かします。

さて、膵炎と言う病態はどういったモノなのか?と言いますと
膵臓の中には消化酵素が通る管がありまして(膵管)
この管が損傷あるいは閉塞してしまって消化酵素液(膵液)が膵臓の組織内に
漏れて出てしまい、膵臓そのものを溶かしてしまうと言う状態です。

簡単に言うと、生きたまま内臓が溶けてしまうわけですから
そのダメージは計り知れません。
症状としては、上腹部の激痛、嘔吐、下痢などがあります。

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎とがありまして、先ほど説明したのは急性膵炎の症状です。
慢性膵炎になると、痛みはさほどではありませんが、消化液(膵液)が作られない状態になってしまい
食べたものを消化することが出来なくなります。
以前、診た症例ではドライフードを食べると、それがそのままふやけて便としてでていました。
そうなると食べたものを消化しませんので栄養分の吸収もできませんから
がりがりに痩せてしまいます。

膵炎になる原因は、その多くは「食生活」です。
また、膵炎のリスクの高い体と言うのがありまして
血液中の中性脂肪・コレステロールが高い、いわゆる「高脂血症」があると危険です。
また、短期間に急激に太ってしまうような食生活をしていた場合も危険です。

そして、もう一つ厄介なのが診断が難しい、と言うことです。
臨床症状や触診などである程度「あたり」はつくのですが
血液検査での診断が難しいのです。
検査センターで調べる項目と言うのはありますが、結果が出るまでの時間がかかります。
膵炎の、特に急性膵炎の症状は急激に悪化しますので結果が出るまでのんびり待っているわけにはいかないんです。
そこで、エコー検査が重要になってくるのですが、元々、正常な膵臓をエコーで確認するのは困難なんです。
例えば検診の時に膵臓を見る、と言うのはなかなかに難しいんです。
簡単に言うと「わからない」んですね。
ただ、これを逆手にとって考えると、見えないはずのものが見える、と言う時点で異常所見と言えるわけです。
今回治療した膵炎症例はまさにエコー所見が決め手でした。

そして、そして最後に厄介のが、これだ!と言う有効な治療方法がない、と言う事でしょう。
例えば、細菌感染なら抗生物質で治療しますし、胆嚢炎なら手術もいいでしょう。
しかし、膵炎はそうはいきませんで、まずは脱水の補正のための点滴、そして嘔吐処置を行い
炎症の鎮静化を待つ、と言うことになります。
今回の事例は、軽症でしたのですぐに症状の改善が見られましたが
重症例になると命を落とすことも珍しくない病気なんです。

膵炎を回避するには「低脂肪」これが重要です。
脂肪分の過剰摂取は、人も動物も体にいいことないですよ。

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