要するに「剥離」です。
胆嚢摘出手術を上手に行うための肝は「剥離技術」にあります。
そもそも胆嚢と肝臓は軽くくっついていますが炎症が起こり
それが慢性化した状態で手術を行いますので癒着が起こっています。
癒着は新生血管であったり結合組織だったりしますが
時には肝臓内の血管が胆嚢にくっついていることもあります。
新生血管は1本ずつ止血・切断を繰り返し
結合組織は剥離鉗子を使ってはがします。
肝臓内血管は絶対に傷つけてはいけないので
胆嚢から剥離して血管は保存します。
これらの作業をきちんと行えば胆嚢摘出の7〜80%は成功です。
あとは胆嚢管から総胆管へ胆泥や粘液の流入があれば洗い流しをしますが
ここで完全閉塞がある場合、つまり洗浄が出来ない場合には
さらに複雑な手技を取り入れます。
ただ当院では幸いそこまでの技術を駆使した例はありません。
そして手術が上手く行ったかどうかは動物が教えてくれます。
「すぐに食事をとれるかどうか」と言うところを重視しています。
手術や麻酔のダメージが強ければ食欲回復が遅れます。
今日は犬と猫の胆嚢摘出手術をそれぞれ行いました。
猫は初期の粘液嚢腫で犬は重度粘液嚢腫でした。
猫は初期ですから癒着はごく軽度でしたが
犬は重度ですからこれまた重度な癒着がありました。
その違いが手術時間に現れますが
猫は39分、犬は59分かかりました。
そしていずれも夜の食事をがつがつと食べましたので
手術は上手くいったと判断していいと思います。
癒着剥離がスムーズにいかなかった場合には
じわじわとした出血が持続しますし
誤って肝臓の血管を損傷してしまうと出血量も多くなりますが
術後肝臓組織の壊死が起こるかもしれません。
いずれも場合も回復に時間がかかることでしょう。
(胆嚢手術に関してご相談がありましたのでこちらで解説してみました)
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