院長 / つぶやき / 2021.5.30 23:07

アレルギー治療は難しいです。
飼い主さんの理解と協力がなくては無理ですね。

アレルギー疾患には大きく分けて2つあります。
１つは環境アレルギー
もう１つは食物アレルギーです。

一見してアレルギーかな、とあたりをつけるのは容易ですが
その原因を突き止めるのは困難です。

いちいち検査をして時間と労力と費用をかけてもいいのかもしれませんが
検査結果が必ずしも原因を突き止めているとも限りません。

以前皮膚科専門医のセミナーで
家ダニによるアトピー性皮膚炎と確定診断され
その原因である家ダニを病院のスタッフ総出で
飼い主さんの自宅へ赴き徹底的な殺菌・消毒を何度も行い
とうとう室内から家ダニを完全駆除できたにもかかわらず
動物の皮膚症状が改善しなかった、と言う話がありました。

理論的にはあり得ないことなんですが
これが現実なんでしょうね。

私などは町医者ですので専門医がやったようなことは到底できません。
出来ないけれど治療は出来ます。

食物アレルギーが疑われる場合は食事療法を行いますが
これは家での出来事ですから我々の監視の外です。
処方食のみ給餌とするわけですから
理論的には症状は改善しなければなりません。
それで改善する症例がほとんどですが
中には全く変化のない場合もあります。

こういう時は「もしかして食物アレルギーじゃないのか」と考えるより先に

『まだ何かやってない？』

と聞く方が的を射ているんです。


肥満の場合のダイエットも同じです。
減量用処方食を与えているわけですから
理論的に体重は減らなければおかしいにも関わらず
全く変わらないどころか増えている症例もいます。
そんな時も

『まだ何かやってない？』
と聞きますね。

食べるものに関しては獣医師と飼い主さんとの間に
超えられない大きな壁がたまにあるようです。

でもそれじゃ痒いの治らないんですよねぇ。

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