院長 / つぶやき / 2023.12.19 09:56

正直申し上げて獣医が「煽っている」ように思います。

こういう電話問い合わせが非常に多いです。

「避妊（去勢）手術、そちらは「最短」でいつやってもらえますか？」

申し合わせたのか、テンプレなのか
ほぼこのような内容から始まります。

どうしてこんなに慌てているんだろう、と不思議に思ってましたが
その理由はこちら。

「かかりつけで相談したら生後６か月になるんだから早くした方が良い」と言われるそうです。

それならすぐに手術してあげればいいのに、と思うんですよ。
しかし・・・

「そこの病院は予約が一杯で、手術するのは半年先になる」と言われるそうです（笑）。

生後６か月の犬（猫）が半年先には１歳になりますね。
そうなると「手遅れ」かのようなイメージを持ちますよ。

この会話、電話してくる人はそれぞれ違えどほぼ一言一句変わりません。

もうね、突っ込みどころが満載なのです。

そもそも避妊去勢手術をそんなに慌ててする必要はないです。
そもそも病気の治療でもないですし。
急がないと命にかかわるというものではないです。

また生後半年になったら「しなくてはいけない」ものでもありません。
個人的には「しないよりしておいた方がいいかな」ぐらいです。

雌の場合は発情がありますので、犬は出血、猫は大騒ぎしますから
避妊手術はした方が良いだろうなと思います。
でも雄の場合、去勢手術の理由ってのは正直思いつかないです。
しなくても別にいいんじゃないのと思ってます。
また避妊去勢手術の「デメリット」について誰も説明してないようですね。
ホルモン分泌組織を摘出するわけですからデメリットがないわけがないですよ。
ただメリットとを天秤にかけて、という類のものですので
両方を説明してから手術するかしないかを決める必要があるんじゃないでしょうか。

だからそんなに慌てる必要はないと思うんですが
獣医が「煽る」と飼主さん、特に飼育経験や知識のない人はそのまま受け取るでしょう。
それじゃあ手術をしてくださいというと「予約で一杯。半年先」という
これまたテンプレ通りの発言があるようで
そうなると飼い主さんは慌ててますからあちこちの病院に電話をすることになるんでしょうね。

こういうのを聞くとホントに飼主さんが気の毒です。
「煽り」によって「不安」になって。
かかりつけだと思ってたところから「半年先」と言われると
他の病院に行ったことがないので「どうしよう…」となるでしょうね。

自分で煽っといて半年先まで無理、なんてことを口にできるのを
私は同じ獣医師として理解できません。

そういう電話の場合こちらの返答もいつも通りですが
「まず一度診察につれてきてください」から始まります。
見たことも触ったことない動物の手術を電話口で引き受けることはあり得ませんので
まずは診察してから、手術の説明をして、それから手術を希望されるのであれば
飼主さんの都合とこちらの都合を照らし合わせて手術日を決定します。

ただこういう電話の場合、ほとんどの人は来院されませけど。
来院されればきちんと説明をしてすぐに手術をする、あるいは
もうちょっと先にするという決断が出来ると思いますよ。

ちなみに当院では水曜金曜手術日としていますが
今週は４件、来週最終手術日も２件予定が入っています。
そのうち避妊手術は１件だけですけど。
他は生命、健康にかかわる手術となっています。
ということで今月は避妊去勢手術を受けることはできませんが
まあ、慌ててするものではないですからね、とお伝えします。

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