
最近これの相談が続きまして。
トリミングショップを利用している飼い主さんから
「今年から5種混合ワクチンにして欲しい」という要望が続きました。
変更するのは別に構わないのですが「どうかしましたか?」と聞いてみると
トリミングショップで「今後は5種混合ワクチン接種をしていないとダメ」と言われたそう。
以前はそんなことは言われなかったそうで飼い主さんも困惑しているようでした。
ちなみにこれまでは2種混合ワクチンを接種していた事例です。
2種混合ワクチンを使っている動物病院は多分少ないはずなので
「こりゃうちを狙い撃ちか?」と思いました(笑)。
混合ワクチンは2種と5種しかないわけじゃなくもっとたくさん種類があります。
この2つの違いは「アデノウイルス」「伝染性肝炎」「パラインフルエンザ」の3つが入っているかどうかです。
6種になると5種の内容プラス「コロナウイルス」が入ります。
7種以上になると「レプトスピラ」が入ってきます。
おそらく大抵の動物病院は1種類かせいぜい2種類のワクチンを用意していると思います。
全てのものを置いているところはないでしょう。
それぞれの病院でどのワクチンを採用するかはそれぞれの見解によるもので
これでなくてはダメというルールはありません。
ワクチンのことを説明するとここでは書ききれませんので詳細は省きますが
当院で2種と5種を在庫していてそれらを「使い分け」しているわけですが
ワクチンで一番のリスクは「副反応:副作用」です。
副反応が出るかどうかは色々な要因があるので一概には言えませんが
多々洗う要因の1つに「種類が多ければ多いほど」リスクは高くなります。
ワクチンメーカーが公表している副反応報告例を見てみると
このメーカーは2種から7種まで販売しており
2種と7種の副反応発生数は7種の方が6倍多くなっていました。
7種以上にはレプトスピラが入っていますが、これが入ると副反応リスクは跳ね上がります。
こういったことを踏まえてどれを使うかを吟味しているわけです。
病気の予防のためのワクチンで病気になっては元も子もない、という事だと思います。
当院の実績で言えば5種の副反応は、ここ数年診ていませんが
かつては年に2件程度ありましたが、2種では0なんです。
5種で副反応が診られた場合、翌年同じものを接種することは出来ません。
これはスズメバチに2回刺されると危ない、というのと同じです。
1回目が軽症だったとしても2回目は重症化リスクが高まりますから。
その場合はでは7種を接種するか、というと普通はそうはしません。
別のメーカーのものにするというのも一手ですが
そうなると全て変更することになります。
ワクチンは1頭分だけ買うことが出来ませんから。
当院では過去に5種で副反応が診られた事例では翌年は2種を接種するか
もうワクチンは接種しないかという選択になります。
ちなみに2種を接種した事例ではその後副反応は出ていません。
ワクチン接種って言っても結構複雑な理由があるわけで
それを踏まえての意見なら良いんですけどね。
ちなみにアデノウイルス、伝声性肝炎、パラインフルエンザについて少し解説しましょう。
私の経験上の話になりますが・・・
アデノウイルスは診たことがありません。
伝染性肝炎は30年以上前当時使われていたワクチンの副作用で発症したのを1例だけ診たことがあります。
パラインフルエンザは単体では病原性を発揮できません。非常に弱いものです。
他の雑菌などとの混合感染があって症状を呈します。
つまりこの3つに関しては現実的な心配はいらないと思っています。
ワクチンの中身は多ければいいというのもではなく
多ければ多いほど副反応リスクが高くなりますし
少ないからダメというものでもなく、必要最低限(パルボウイルス、ジステンパーウイルス)の予防
これら2つは死亡率も高いですから、という考えでもいいんじゃないでしょうか。
特に昨今はアレルギー体質の犬が多い時代ですので
ワクチンでの副反応発症には要注意だと思います。
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