岡本動物病院

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院長のブログ

ダニの恐怖について

院長 / つぶやき / 2013.8.17 23:09

マスコミもすっかり報道しなくなりましたが
ダニからの感染症に対してもっと警戒しましょう。

「重症熱性血小板減少症」

先日、島根県からも感染者の報告がありましたね。
この病気に関して、我々はまだほとんど情報がないんです。
そして治療方法もありません。
これが最大の恐怖、ですよ。

随分前に、長崎大学の医学部が、大学の敷地の林から
ダニを採取してウイルス保有の有無を調べる、という報道がありました。
現時点でまだ詳細な報告はないはずですから、調査は現在進行形ということでしょう。

まず、どんなダニがこのウイルスを持っているのか。
保菌動物が何なのか。
これを解明しないことには感染ルートがわかりません。
感染ルートが分かれば、予防につながります。
次に、ウイルスの特性を調べなければなりません。
どんな特徴があって、何に対して強いのか、あるいは弱いのか。
体内へ侵入する経路はどうなっているのか。
血液中に入るのか。
あるいは神経を介するのか。
どのようなメカニズムで発症するのか。
これらが分かれば、感染から発病までの時間経過と臨床症状の発現がわかるでしょう。
そしてどのタイミングで感染の有無を調べることが可能なのか。
そしてその検査方法はどうやって行うのか。
簡便な検査方法の開発が可能なのか。
次いで不幸にも発病してしまった場合の治療方法はどうするのか。
輸血で、あるいは手術で、あるいは特効的薬剤はあるのか。
またワクチン開発が可能なのか。
これらが明確になれば治療薬の開発もできるようになるかもしれません。

ここまで列挙したことを研究者たちは日々の寸暇を惜しんで行っているはずです。
しかし、残念ながら最終的な治療法開発まではどれだけの時間がかかるか
今のところ全くわかりません。
5年で、あるいは10年以上かかるかも・・・です。

今我々にわかっているのは、ダニの吸血によって感染すること、ぐらいです。
そして発病すると死亡率が10%とも15%とも言われていますが
患者総数が明確になっていない現状では正確な死亡率は算出不能でしょう。
ただ、死亡率10%と言うのは相当危険なレベルですよ。
以前コロナウイルスによる新型肺炎が出現した際に、言われていた死亡率と同じ数値ですから。
ちなみに、犬の伝染病ではパルボウイルス感染症の死亡率と同じです。

現在わかっている情報を生かしましょう。
それはダニに吸血されないこと、だけです。
山野に入らなければダニの感染はない、と思っていませんか?
ダニなんてどこにでもいますよ。
実際、犬の体にダニが寄生しているわけですから。
山野に行ったことのない犬や猫にダニが寄生しているんですから。
散歩中に寄生するわけですから、リードを持って犬と一緒に歩いている人間にダニが寄生しても
全然不思議じゃありません。

人間にはダニ駆除薬を直接使用することはできません。
しかし動物にはそれを使用できるわけですから
まず、動物の体にダニを寄生させないよう駆除・予防薬をきちんと使用することが大事です。
そうでないと、動物の体にくっついてきたダニが家の中や庭にポトンと落ちて
そこから人間にやってくるかもしれないんです。

たまに「ウチの犬にはノミやダニはいないわ」という人がいます。
なんの予防処置も行っていなくてそれはありえません。
ある地域の高級住宅街では、完全室内飼育で屋外に全く出たことのない犬が
ダニ由来感染症にかかって命を落とした、なんていう恐ろしいデータもありますから。

「備えあれば憂いなし」

まさにこれが大事だと思うんです。

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