岡本動物病院

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院長のブログ

真菌症

院長 / つぶやき / 2013.8.18 22:10

例年、梅雨から夏に増えますが、今年は特に多いかも?です。

真菌(カビ)は、温度・湿度(水分)・栄養素の3つが揃うと増殖が活発になります。
よって、梅雨から増え始め夏場が多くなる、ということなんです。

真菌症と言うと、病原性真菌症と非病原性真菌症、そしてマラセジア感染症などがあります。
ただ、近年は病原性真菌症はほとんど見かけなくなりました。
これは動物のみならず、まず間違いなく飼い主さんも感染します。
昔、ペットショップから子猫を購入したという若いご夫婦が来院されました。
子猫の皮膚がおかしい、ということでしたが、一見してわかるぐらい明確な真菌症でした。
ご夫婦は20代でしかも奥様は懐妊中ということで、もし体に痒みが出てきたら
すぐに病院へ行ってください、そして飼い猫が真菌症で治療中ですと申し出てください、と
話をしたんですが、残念ながら私の予感が的中しまずは奥様、次いで旦那様と相次いで発症しました。
治療を行った順に、それぞれ症状は改善しましたけど。

非病原性真菌は、真菌そのものが問題ではなく、動物の側の皮膚免疫力の低下が原因となります。
よって、多くは高齢動物が発症します。
また、発症部位も圧倒的に眼瞼周囲が多いですね。
目からは涙がでますが、これも正常ならば涙管を通って口の中に流れていくんですけど
歯周病から波及した涙管炎が元になって涙が涙管を流れず溢れてしまい
目の周りを常時濡らしてしまうことで真菌の感染を容易にしたり
結膜にある特有の免疫機能が老化によって低下して感染を容易にしたり、といったことが
非病原性真菌による眼瞼周囲炎を起こしていると思われます。

マラセジアは特に耳道内に存在する常在菌で、これ自体は病原性は低いと言われていますが
何らかの要因(多くはアレルギーまたは内臓疾患)で皮膚にトラブル(炎症)が生じると
そこで一気に増殖して二次的に皮膚炎・外耳炎を悪化させます。
マラセジアは皮膚からの皮脂が大好物ですから、それが多く分泌される場所に
好んで増殖が見られますので、腋窩や大腿部内側など皮膚と皮膚が擦れて
尚且つ熱を発生しやすいところで病変を作ることが多いです。
マラセジアが増殖すると独特の匂いがありまして、所謂「酸味臭」がします。
私は「酸っぱい系の匂い」と説明してますが。

これらの治療は薬剤投与が中心になるんですけど、まずは予防が肝心でしょうね。
まずは皮膚(眼瞼周囲)を清潔に保つことが大切なんですが、よくシャンプー実施と言うんですけど
これはこれで注意が必要です。
と言うのもシャンプー剤の選択が必要となることが多いからでして
元々皮膚免疫が低下していることが多いですし、内臓疾患などから正常な皮膚構造となっていないことが多いですから
理想は市販のものでなはなく動物病院で処方される薬用シャンプーをお勧めします。
特にマラセジアに関しては、私の好きな(?)マスマリンシャンプーがオススメです。

皮膚病の治療は原因がなんであれ時間がかかりますが
特に真菌感染ではどう頑張っても1ヶ月以上かかりますね。
根気強く治療をすれば必ず治りますから完治するまで頑張りましょう。
でも、その前に感染を防ぐことが大切ですから、まずは体の観察と
目の周り、口の臭いに注目してください。

| comments (5) |

コメント

そうですよね〜
ありがとうございました!

万が一4匹の猫にノミやダニが蔓延したら5年前の悪夢の再来ですよね>_<

うーちゃん / 2013.8.19 17:25

| EMAIL | URL | boyEjEos |

うーちゃんさん。こんにちは。
ノミ・ダニに関しては獣医師の考え方の違いということになるんでしょうかねぇ・・・
私はノミ・ダニはどこからでもやってくると思ってるんでウチのスタッフにも完全予\防をするように言ってます。万一ということがあった場合に「やっておけばよかった」と後悔するぐらいなら、という事ですねぇ。
備えあれば憂いなし、ですよ。

岡本宏之 / 2013.8.19 17:03

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先生 こんにちは〜

拾った子はいつも近くの獣医さんに耳ダニ、便などを見て貰って家に入れてはいたのですが… 猫カビの存在を私は知らなかったんです…
当時、このような情報を発信してくれる場所を知っていたら違っていたでしょうが…
日常の知ってお得?安心!な情報を発信していただけるんで助かります。

真菌症と言う
文字を見て5年前の悪夢を思い出しこちらにコメントを入れてしまったんですがお聞きしたかったのは前回のダニの話しなんです。

完全室内飼育の犬がダニ由来の感染症にかかって命をおとしたとありますが
この春からお世話になっている病院のスタッフの方に「完全家猫なら投与しなくていい」と言われ、今まではフロントラインを毎年6月〜9月の間だけ投与していましたが今年はしてません。

うーちゃん / 2013.8.19 16:53

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うーちゃん さん おはようございます。

野良動物の場合、栄養状態・衛生状態が悪いのが当たり前という環境ですから、真菌持ちがいてもおかしくないですね。ただ、ほかの動物(人間)に感染すると本当に厄介です。治療には大変苦労されたことでしょう。
「拾った」場合、家に連れて帰る前に病院で検診をして、早期に異常が発見できるといいんですけどね。

岡本宏之 / 2013.8.19 08:26

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 ウチには4匹の猫が居ます。
みんな拾った子なんです。
5年前、最後に拾った子が問題児だったんです…カビを持ってたんです。
他の3匹にまでうつり完治するのに3ヶ月かかりました。
この時、動物を安易に拾ってはいけないと学びました。

うーちゃん / 2013.8.18 23:14

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