先天性の疾患で、口の中の上あご部分が裂けている病態です。
滅多に診る機会はありませんが、今回久しぶりに手術をしました。
生まれつきのものですから、通常は子犬の時に手術をするのですが
この手術を「手馴れている」獣医師はそう多くはないでしょう。
今回の症例は硬口蓋〜軟口蓋までパックリと裂けておらず
間では癒合がある、と言うものでした。
以前手術をしたのが・・・随分前の事で何時だったか思い出せないぐらいなんですが
手術自体はそんなに難しいものではありません。
ただ、口の奥まで縫合しなくてはいけないので
それに適した専用器具と言うのがないのが現状ですから
細かな作業が必要になります。
喉の奥が割れているのが見えますでしょうか?
手前の所も割れています。
これを成型して縫合します。
手術の際にあおむけにしますので、上下が逆になってますが
きちんと縫合できました。
実は、この症例はもうすぐ1歳になるんです。
よくぞここまで育てたな、と飼い主さんには感心します。
と言うのもこの部分に裂開があると、水や食べ物が口の中から
鼻に入って誤嚥性肺炎を起こしやすいのです。
誤嚥性肺炎は時に命取りになりますので非常に怖い病気なんですが
それをさせずにここまで育てるとは・・・少々の苦労ではなかったと思います。
ただ、左の鼻腔内にはチーズ様の膿性物がびっちりと詰まっており
いわゆる「蓄膿症」でした。
手術の際に、それらはすべて除去しておきましたが
鼻粘膜の損傷が著しいので、しばらくは臭いがわからないかもしれませんね。
今日で手術から3日経ちまして、術後初めての食事を与えたところ
がっつりと食べて、おまけに口の縫合部に異常なし、を確認しました。
これで「完治」となりますね。
| comments (2) |
さくらんさん こんにちは。
獣医師がこういう事例を我々が見る機会は少ないと思います。
飼い主さんは、出世直後から母乳が鼻からでるとか、咳をするなどの症状が出てから気づくと思いますね。それに気づかなければ衰弱するか誤嚥性肺炎で死亡することが多いですから。
岡本宏之さ / 2013.9.22 13:38
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こんばんは 岡本先生。
動物でもあるんですね。見たことありませんが珍しいですね。
見た目で分かるもんなんでしょうか?
これを見ると口の中だけで、一見分からないのかなあと感じましたが。
さくら / 2013.9.21 23:58
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