岡本動物病院

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院長のブログ

血尿

院長 / つぶやき / 2014.3.16 13:08

簡単な原因から、超難しいものまで色々あります。

まずは、小難しい話から・・・

「赤色尿」=「血尿」ではありません。

見た目が赤いと血液と思いがちですけど、赤といってもいろんな赤がありまして
大学時代に習ったことを今でも基準にしています。

赤い尿の鑑別として以下の4つがあります。
(1) 血尿
(2)血色素尿
(3)筋色素尿
(4)薬物尿

(1)は後回しにして・・・
(2)の血色素尿とは、赤血球が何らかの原因で破壊されて、赤血球内の赤い色素が出てきている状態です。
赤血球ってのは、赤い色素があるんで「赤く」見えるわけでして、その色がついている尿です。
ゆえに血液のように「真っ赤」ではありません。実際には「茶褐色」あるいは「ワイン色」に見えます。
原因として多いのは「ネギ中毒」とか「フィラリア症」大静脈症候群」、また「免疫性溶血性貧血」などなど。

(3)の筋色素尿は、犬猫ではほとんどありませんで、多いのは馬です。
筋肉の色って赤いですよね。この筋肉中の赤い色素が尿中に漏れて出ている状態のことです。
原因は、多くの場合は交通事故などで、筋肉がグチャッと潰れてしまった時に見られます。

(4)の薬物尿っていうのは、赤い色素のものを飲んだり食べたりした場合に
その赤色が尿中に出ている場合ですが、こんなことは滅多にありません。
薬の副作用で赤血球が壊れたりした場合にもありますけど、赤い錠剤飲んで尿が赤くなるなんてのはまずないです。
昔、小学生の頃にちょっと流行った危険な遊びで、赤い絵の具を水に溶いてそれを飲んだら・・・
赤い尿が出ました(苦笑)。
絵の具の色素がそのまま腎臓を通過して尿に出たんですねぇ。
これは今思えば非常に危険なことですので、くれぐれもマネしないでください。

そして最後に出血尿ですが、この場合出血源はどこ?というのを突き止めないといけませんね。

まず、尿の生成について知っておきましょうか。
尿は血液を腎臓で濾過して作られます。
そして尿管を通って膀胱へ送られて、そこで貯められます。
そして尿道を通って外界へ出てきます。

出血場所として多いのは、膀胱>尿道>腎臓>尿管 だと思います。

出血とは「血管が破れて(壊れて)、血管内の血液成分が、血管外に出ること」という定義があります。
簡単に言えば「血管が破れている」でいいんです。
血尿の場合、どこの血管が破れているのか、どうして破れちゃったのか、を考える必要があります。
それを突き止めるために色々と検査をするのですが、尿検査だけで分かる場合もあれば
それだけではわからないことも多々あります。
結石や腫瘍がある場合には、エコーやレントゲン検査が必要になってきます。
また、特殊検査として造影剤を使って検査することもあります。

ただ、最近多く報告されているのが「特発性膀胱炎」というやつです。
「特発性」と「突発性」は意味が違います。

特発性=原因不明 と思って頂ければいいです。
ただ、これの診断のためには膀胱の組織検査までやらないといけません。
先日、当院でも最終的に膀胱組織検査まで行ってようやく「特発性膀胱炎」と診断が付いた事例がありました。

治療方法としては・・・
原因の多い順に行いますので、まずは食事療法。
そして対症療法として止血剤・抗生物質・抗炎症剤などを使って出血しているであろう場所の
鎮静化を図ります。
単純に「傷を治す」と言うことですね。
それで治まればハッピーなのですが・・・

血尿がいずれの場所で、いずれの原因で起こっているのか、を突き止めるのは
なかなかに大変です。
しかし、症状がなかなか治らない場合には、徹底的な検査を行う必要があるでしょう。
原因さえわかれば、今後の方向性も見えてくるでしょうから。


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