院長 / つぶやき / 2014.4.1 20:36

動物の場合なかなか症状がわかりませんので、ご注意。

人間と犬猫を比較してみると、よ〜くわかります。

まずどうやったらわかるのか？と言うとまずは血液検査と尿検査でしょう。
人間の場合、これらの検査でまず間違いなく引っ掛かりますので
「見落とし」と言うことはないと思われます。
これに対して動物は、と言うと・・・

まず、最初に断っておかねばなりませんが・・・言い訳じゃないですよ。
初期の段階では血液検査ではわかりません、と言う事と
血液検査の正常値に幅がありすぎるということ、です。

もうちょっと具体的に言いますと
人間も動物も腎臓は左右に１個ずつの合計２個あります。
それぞれが完全に正常とした場合の機能を100％とします（当たり前ですが）。
例えば、片方の腎臓が完全に壊れちゃったと言う場合、残った部分は50％となりますが
この段階では血液検査で正常値が出ます。
つまり完全に見落とされる、と言うことです。
そして徐々に進行してきて、残った１個の腎臓の半分が壊れちゃった場合
残存機能は25％となります。
この段階になってようやく異常値が出てきます。
つまり、血液検査で異常値が出てしまった時点で、正常機能は25％しかない、と言うことです。
この25％と言うのは「健康状態を維持できる最低限」と言うことですので
もはや「後がない」状態なんですね。

そして、血液検査で問題となる「正常値」と言うやつなんですが・・・
これが色々な意見がありまして・・・
要するに「人によって違う」と言う事なんです。
一応、世界的にはＩＲＩＳという機関が出している正常値が基準となっていますが
個人的にはちょっと甘いかな、と思ってます。
私自身は東大の某先生の出されている基準値（ＩＲＩＳより厳しい）を採用してます。
これについて、友人と話をしたことがあるんですが、友人は教科書に記載してある基準値を採用している、と言う事で
私の採用している基準は厳しすぎるんじゃないの？と言う事でした。
これに対して私の意見は、厳しい基準で引っかかると言うことは早期発見につながるんじゃないかな、と。
どんな疾患であれ、早期発見によって早期に治療を開始できるわけで、その方が結果的に
飼い主さん、動物にとっていいんじゃないか、と思ってます。

どちらも間違っていないでしょう。

ただ、ホントは統一された方が良いんです。
そうすれば全国どこの病院で検査しても同じ診断結果が出るはずですから。

腎臓病の早期発見は血液検査だけに頼れないと言うことで
次いで尿検査が必要になります。
それから画像診断、レントゲン検査・エコー検査と進んで行くのですが
以前は腎臓の機能がどれぐらい残っているのか？と言うのを数値化する検査があったんですが・・・
ある大学で無料で検査してくれてたのですが、今はやってないとのことでした。
これが普通に出来るようになれば、ホントの意味での腎臓病の早期発見が出来ると思ってたんです。
残念ながら当院では一度も行わず、でした。

壊れた腎臓を元に戻すことは出来ません。
そこは人間と同じですが、人間の場合には透析・腎臓移植と続いてきますけど
動物の場合はそうはいかない事情があります。

まず、透析は莫大な費用が掛かります。
そして体にかかる負担も非常に大きくなります。
人工透析の動物用の機械はありますが、その使用範囲は限られます。
そして腎臓移植については、技術的には可能です。
しかし、移植に関して超えなきゃならないハードルが非常に多くかつ高いので
現実的ではないです。
もちろん費用も莫大なものですから。

結局、出来るだけ早期に発見して、腎臓機能の破壊を出来るだけゆっくりにして
健康状態を保つというのが重要になってきます。
まずは、食事管理から始まりますが、これは病気であれ健康体であれ同じことですね。


最近、慢性腎不全の症例が続いているものですから、ちょっと書いてみました。

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