今日手術終わりにテレビで会見を見てました(全部ではないけれど)。
マスコミの言い分としては「STAP細胞は本当にあるのか?」と言うことと
「論文偽装は事実なのか?」という2点かな?と思います。
私も学生時代、お粗末ながら「修士論文」を書いた経験が有り
自分自身「科学者」の端っこの一番隅っこにいると自負しておりますので
その立ち位置から色々考えながら記者会見を見てました。
その中で一番引っかかったのが「STAP細胞を作るにあたってはちょっとしたテクニックと
私の持っているレシピがあれば」という返答部分です。
これを説明する前に、言っておかねばならないのは科学者というのは
頭でモノを考えるだけの人間ではない、と言うことです。
では、何者か?と言うと一言で言えば「技術者」です。
これはちょっと手前味噌になりますが、私が行う「胆嚢摘出手術」を例にしてみると
この方法を「論文」に文字として書いてみると・・・
「胆嚢を鉗子で摘み、超音波入荷吸引装置もしくは綿棒を用いて慎重に肝臓から剥離する」となります。
これを見て、手術経験のない獣医師が実際にできるのか?と言うと、まず無理でしょう。
だから写真を載せる、となるのですが、テクニックは写真には映りませんし
じゃあビデオなら、となってもそれでも細かなテクニックはわからないと思います。
なぜ伝わらないかと言うと、テクニックというのは、言葉に出来ない「指先の感覚」だからです。
そして症例1つ1つ全て違いますから、それぞれにテクニックを応用しなくてはいけません。
何も手術に限った話ではなく、いわゆる「職人」と呼ばれる方々はみんなそうだと思います。
例えば木工細工の職人さんは、木を相手に細工を施すのですが木の種類、温度、湿度など
すべての条件が違う状況で、同じものを作り上げるでしょうし
金属細工をされる職人さんも、その日の状況で変化する金属の状態で手先の操作の微調整をするでしょう。
つまりは、そういう事なんです。
言葉では伝わらないモノを別の人間に伝えると言うことは非常に難しいことで
教える側の問題というより、教わる側の問題、つまり「センス」が問題でしょうね。
小保方さんが、レシピという方法論を公開したとしてもそれを見たすべての科学者が同じ結果を出せるのか、というと
それもまた無理でしょうね。
技術力の差があるでしょうから。
それは料理のレシピ本を見て調理をすればそこに書いてあるような料理が出来上がるわけはない、というのと同じです。
上手・下手そしてセンスの差が個人の差としてある限り、100%の再現は不可能です。
それにつけてもマスコミの方の質問を聞いているとホントに不愉快に感じるシーンが多々ありました。
最初はゆっくり丁寧に喋ってたと思ったら、徐々にエキサイトして、声は大きくなり早口になり
挙句は司会をしている弁護士の静止を振り切ってさらに大きな声でいつまでもベラベラ喋るというのはみっともないですよ。
限られた時間の中で多くの記者が質問したいので手際よくしなくてはいけないのに。
中には、聞いていると結局質問ではなく「私の言うとおりにしろ!」と言っているようにしか聞こえないモノもありました。
研究者というのは、浮世離れした人が多いんです。
世間の常識で責め立てたところでその通りには行かないです。
小保方さんも言いたいことはたくさんあったでしょうに。
私は個人的にSTAP細胞は存在していて欲しいと思いますし
だからこそ彼女にこれからも研究を続けて欲しいと思ってます。
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