岡本動物病院

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院長のブログ

検査

院長 / つぶやき / 2017.6.22 10:24

万能ではありませんがそれに近づける努力は必要です。

よく行われるのが血液検査ですが
これをして「健康診断」とはこれいかに?

血液検査は、いうなれば川に向かって網を投げているようなもので
魚がいれば網にかかりますが、いなければかかりません。
魚がかからなければ「この川には魚がいない」とはならないですね。
正確には「今網を投げたけれど魚がかからなかった」とか
「この場所には魚がいないかもしれない」と言うべきです。

また、血液検査では「正常値」と言うのが問題でして
各病院でその基準が違ってますね。
もっと言えば機械によっても違ってきます。
が、おおむねどこの機械でも同じような結果になっていると思いますが
病院での基準の違いは困ります。
それを見る私も困りますし、飼い主さんももっと困るでしょう。

先日あった例です。
他院で「健康診断」として定期的に血液検査を受けていて
「異常なし」あるいは「問題なし」とされていたようですが
私の診たところでは『異常値あり』でした。
前の病院で使用している基準値と言うのが
20年ぐらい前の教科書に載っているものだったようで
現在の基準とは大きくかけ離れていたのです。
これはホントによくある話で、以前大学時代の後輩と話をしてまして
そこの病院で使用してる資料を見せてもらったんですが
これも20年以上前の古いものでした。
「君とこはこれで診断してんのか?」と突っ込んだところ
『いや〜これは・・・』と苦しい弁解をしてましたね。

特に多いのが腎臓機能の項目でして
「クレアチニン:CRE」と言うものです。
正常値基準と言うのはとある個人の決めることではなく
学会が認定したものを使うべきなんです。
腎臓に関してはIRISという国際学会で定められたものがあり
これを使用するのが正しいんです。
しかもこの資料には診断基準のみならず
病気のグレード診断のためのチャート表も出ていますから
我々臨床家にとっては非常にありがたいものです。

腎臓のみならず、心臓病も同じで
特に老犬で多い「僧帽弁閉鎖不全症」についても
世界中から集められた専門医によってその基準が制定されています。
しかもこれがちょこちょこと変わるんです(笑)。
つまりそれぐらいシビアな話し合いがそこにあるということなんですが
この基準に基づいて診断をすすめ検査をしていけば
おのずと結果が出てきますので臨床医としてはこれまた非常に便利です。
結果が出れば使う薬の選択がそこに書いてありますから
こんな楽ちんな話はないですね。

ただ、心臓病は血液検査だけでは病態を語ることは出来ません。
院内では出来ない項目を調べることで検査することは可能ですが。
現場ではそんなことをしている暇はないですから
画像診断、つまり心臓エコー検査が必須となります。
もちろんレントゲン検査も必須です。

心臓エコー検査で心臓の内部構造と血流の状態を確認できますし
血流測定ができれば左心房内、肺内の血圧の状態も測定できます。
例えば「肺高血圧症」の診断が出来るわけで
この状態になると次に起こりうることも類推できます。
またレントゲン検査では心臓の大きさだけではなく
肺や肺内血管の状態がわかります。
これも肺高血圧に関連した状態がわかります。

ついでに心臓病の場合には心電図検査も行いますが
当院では積極的にはやってません。
その理由は・・・非常につまらないことなので割愛しますが
実施するときはちゃんとやります。
心電図でわかるのは不整脈の有無とその種類がメインです。
それによって心臓の動きや活動状態がわかります。

肝臓や胆嚢疾患も同様で、血液検査ではわかる情報は限られています。
肝臓については血液検査は重要ですけど胆嚢疾患に関してはあまり重要ではないです。
というより血液検査では胆嚢疾患の有無はわかりません。
いまだに血液検査から胆嚢疾患の診断へ、と言う話を聞きますけど
血液検査で異常値が出た場合にはその胆嚢炎は相当重度だよ、と言うことはわかります。
ただ今胆嚢炎があるね、と言うことは血液検査だけではダメなんです。
と言うことで胆嚢疾患に関してはエコー検査が必須、必須です。

血液検査が投網だとするならば
レントゲン検査は全体を透かして見るソナーかもしれません。
エコー検査は臓器をピンポイントで見ますので投げ釣りかな、と。
心電図検査は・・・ちょっと特殊ですのでたとえが思い浮かびませんが。

いずれにせよ、色んな検査を組み合わせることで診断へ向かうということです。
1つの検査で病気の診断が出来るというのはすごいことだとは思いますが
疾患が限られますし、また相当な技術と知識が必要です。
検査データを読む精度を高めることで確かな診断へと進むわけです。

と、口で言うのは(文字にするのは)簡単なんですけどね・・・

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