岡本動物病院

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院長のブログ

胆嚢炎って多いの?

院長 / つぶやき / 2017.6.23 09:43

先日あるSNSで獣医師がコメントしてましたので。

胆嚢炎と言う疾患が最近多いのか?と言うと
YESでもありNOでもあり、です。

YESに関しては、この疾患がある種「現代病」ともいえる側面があることで
NOに関しては、昔は「気づかなかっただけ」と言う面があります。

当院では健康診断を行ってます。
基本的には「元気」な犬猫が対象なんですが
犬に関しては程度の差はありますが90%以上の確率で見つかります。
猫に関しても約50%ぐらいで確認されます。

一見、健康に見えても体の中では問題が生じているということですが
なぜこんなに多いのか、と言いますと
あくまでも私見ですけど、飼育環境が変わったことが大きな要因だと思ってます。
それは、屋外飼育だったものが室内飼育に変わったことですね。
室内飼育がいけないの?ということではなくて
ストレスにさらされる機会が増えたということなんです。
このストレスと言うのは運動不足?ではなく
音響ストレスです。
アラーム音と言う非常に耳障りな電子音が身近で鳴ることですね。
動物にはあの音がなんなのかはわかりませんが
彼らのように優秀な聴覚を持っていると、あの電子音は「大嫌い」なはずです。
突然ピーピーなるわけですのでその時にかかるプレッシャーは大きいはずです。

それと食生活の変化も関係していると思われます。
ドッグフードや動物用おやつ、はては歯周病対策のガムなど
いずれに共通するのは脂肪分と薬品の混入です。
これらの常時摂取がじわじわと体の消化器系に負荷をかけているんだろうと思います。
かといって昔のような「残飯整理」は全然だめですよ。

ではNOの面はどうか、と言うと
診断の決め手になるのが超音波検査だけと言う点です。
血液検査やレントゲン検査ではよほどひどい状態になっているときだけ
「疑わしいかも」ぐらいの診断は出来ますが
確定診断には超音波検査しか使えません。
超音波検査機械が色んな動物病院で導入されたことと
機械自体の画質が非常によくなったことが要因の1つです。
ただし、検査をしても映像を読み取ることができるかどうか、これは「技術」です。

同じ症例を見ても初心者とベテラン、知識のあるなし、経験のあるなしで
全く違う評価になります。
ここが超音波検査の唯一の落とし穴です。

実際に他院から紹介された症例で、私の診断と同じ結果となるのは
半分もありません。
胆嚢疾患であることは間違ってないのですが
病態の正確な診断と言う部分ではかなり差が出てきます。

重度な胆嚢粘液嚢腫であるのに「軽症」と言われていたとか
「胆嚢破裂」と言われていたけれど中程度の胆嚢炎だったとか
「正常・問題なし」と言われていたけれど末期的状態だったとか
診断が相当に異なることも多々あります。

もちろんですが、超音波検査に至るまでに
胆嚢疾患を疑わないとそもそも検査をしませんので
下痢嘔吐があっても「胃腸炎」と診断すればそのままになってしまいます。

レントゲン写真は、最近の機械はコンピュータが内蔵されている
デジタル式が多くなってきてますので、撮影者の技術は全く関係なくなりました。
要は誰が撮っても同じような写真になります。
しかし超音波検査機械は納入直後の設定では細かな描出が出来ませんので
実際に小型犬・猫・中型犬・大型犬の撮影実験をしてから
それぞれの設定を作らないといけません。
同じ機種を使っていてもこの設定はそれぞれオリジナルですので
全く違う映像となるわけです。
正しい診断のためには細かな設定を作るという影の努力があるわけですよ(笑)。

これまた私見ですが、犬猫とも高齢になると胆嚢の異常が出てきます。
これは体の老化現象だからです。
つまり誰しもが胆嚢炎になる、と言ってもいいでしょう。
これは昔も今も、そしてこれからも変わらないと思います。
ただ、問題なのは治療が必要なレベルなのかを正確に判断することです。
実際に画像上では相当ひどい状態なのに、全く臨床症状がないという犬もいますし
画像上ではたいしたことなさそうにみえても実は重症だというのもいます。

早期発見早期治療とは言いますが
こと胆嚢疾患に関しては、正しい診断の方が重要だと思いますね。

| comments (2) |

コメント

Natsuさん こんばんは。
オス柴くん、残念でしたね。
健康診断というものの内容を統一出来れば一番いいと思うんですが、それぞれの獣医師の技術の差がありますから現実には難しいです。唯一血液検査は採血して機械に入れるだけなので「誰でも出来る」検査ですのでこれをして健康診断、となっているのが現状ですね。エコー検査機械がこれだけ普及してきてますのであとはそれを使いこなせる技術が身につけることが出来ればいいんですけどね。獣医師各人の努力が不可欠だと思います。

岡本宏之 / 2017.6.24 22:41

| EMAIL | URL | iBAzvxqo |

こんにちは
興味深い記事が2つ続いたのでお邪魔します。
わが家のオス柴は14歳の「健康診断」を受けた1か月後に具合が悪くなり、エコーで胆嚢粘液膿腫の診断。1年半投薬で頑張りましたが今年亡くなりました。
残ったメスのほうを同じ病気にすまいと先日エコー検査をお願いして主要な臓器を見てもらったところです。
健康診断というとシニアになっても項目が増えるだけで血液検査以外に勧められたことがありませんでした。。。
病院のほうから勧めて何も見つからなかったら「無駄な検査をして」と言われるのが嫌なのでしょうかね。やってみたらそんなに高価な検査ではなかっただけに、とても悔しい思いです。

Natsu / 2017.6.24 14:54

| EMAIL | URL | TSpwsGb6 |

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