岡本動物病院

お問合せは0852-31-6119まで

院長のブログ

治療方法は確立されていても

院長 / つぶやき / 2017.10.7 22:17

診断が間違っていれば結果は・・・

教科書には、まず病名が書かれており
次いでそれについての解説があり最後に治療法が記載されています。

ただ実際の診療では、病名を付けるところまでが大変なわけです。

先日、予防接種で来院した犬が診察台に乗せるときに咳をしていました。
この咳について飼い主さんに確認したところ随分前からあるとのこと。
犬の年齢、種類など考えれば老齢性疾患をまず考えたわけですが
例えば気管・気管支炎などの呼吸器系疾患
あるいは僧帽弁閉鎖不全症などの心臓性疾患。
しかしいずれも違っていました。

仮に呼吸器系疾患であったなら、聴診の後レントゲン検査を行い
抗生物質・気管支拡張剤・消炎剤などの処方をしたでしょうし
心臓性疾患であったなら、その程度によって違ってきますが
心臓エコー検査やレントゲン検査を行い
血圧調整剤・強心剤などを処方したでしょう。

しかいいずれも違っていたわけなんですが
この症例ではレントゲンもエコー検査も行ってはいません。

先日ネットのニュースで、ウサギがくしゃみをするという事で病院へ連れて行ったところ
血液検査やレントゲン検査を行い、その結果「原因がわかりません」と言われ
治療、つまり薬の処方などもなかったんでしょう、請求が50000円以上だったとのこと。
飼い主としては原因が知りたいと思い別の病院へ連れて行き
そこでは触診・聴診などから診断をつけて薬の処方がなされ
請求は5000円と少しだったとのこと。
動物病院の治療費の格差がすごいね、という事でした。

この話はかなり端折ってあるような感じがしますが
最初の病院では科学的な検査を行ったが原因が突き止められなかった。
次の病院では科学的検査をせず問診を中心に診断を付けた。
そして薬の投与を行ったら症状が改善した、ということのようです。

何のためにいろんな検査をしたの?という疑念と
ホントにそんな検査が必要だったの?と言う疑問。
そしてそこまでやって診断がつかないの?と言う疑念
最終的にそこまでやってこんなに高額になるなんて、と言う驚きがあったんでしょうね。
なにせ、次の病院では「何も検査せず」診断がついたんだから
こっちの病院の方が「良心的」じゃない、って思っても不思議じゃないです。

この件についてはもっと根本的なところが問題だったかもしれません。
なにせ、症例がウサギですから。
最初の病院ではウサギの事をよく知らない獣医が診察にあたったかもしれません。
よくしらないから、身体の異常の有無を診るためにいろんな検査をしたのかもしれません。
次に行った病院はウサギの事をよくわかっている獣医が診察したのかもしれません。
だから問診である程度絞込みが出来たのかもしれません。

まあ、当事者じゃないんで正確なことは言えませんが。

同じようなことは犬猫でもよくあります。
特に多いのが皮膚疾患です。
皮膚疾患の場合、ある程度の診断は「見れば」つけることが出来ます。
これは科学的ではないです。経験に基づくものです。
例えばアレルギー性疾患であれば見ればほぼそうだと診断できます。
もちろんアレルギーの原因まではわからないですけど。
ホルモン性のモノも見ればわかります。
症状が特徴的ですから。

この場合、アレルギー性疾患であれば痒みが強い症状として現れますから
痒みを止めることが第一となります。
ホルモン性疾患であれば痒みはない、あるいは軽度です。
だから痒みを止めることが第一にはならないです。

診察するというのはコナン君が犯人を追いつめる作業に似ています。
そこかしこにある証拠を拾い集めてそれらをまとめることで
「犯人は(原因は)お前だ!となるわけですよ。

診断を付けるために検査をすることは間違いじゃないですが
なんでもかんでも検査すればいいというわけじゃあありません。
疑いを持ってそれを確かめるために検査をするんですね。
だから順序と言うのも特にないんです。

血液検査をしてからレントゲン検査をして、と言う必要はないんです。
単にデータを取るためにすることもあるんでしょうけど
臨床の現場では必ずしも必要ないです。

例えばフィラリア症の犬が来た場合
症状を聞いて、犬の全身を診て、聴診すれば
フィラリア症の疑いはすぐにわかります。
ではフィラリアが今いるのか、いるとしたらどこにどれぐらいいるのか
これを確認するわけですが、私は血液検査を飛ばして
心臓エコー検査を先にします。
もしも手術が必要な状況であるならば
そして飼い主さんが手術に同意してからなら
血液検査とレントゲン検査を追加します。
その状況、つまり手術が必要なのに手術をしないよ、と言われたら
治療方法はない、という事になりますので
それ以上の検査はせず、となります。
原因もわかってますので、もはや追加する必要はないです。

診察に関してはそれぞれの獣医の考え方があるわけで
私は無駄なことはしない、と思ってますので
必要最低限な検査で診断が付けばそれで十分だと思ってます。

ちなみに院内の検査機器をフル稼働させれば
学会報告するのに必要なデータをすべて集められるだけのモノは用意していますよ。
でもすべてを行うようなことはないです。
なぜならそこまでしないうちに治療を始められるので。

まずは原因がどこにあるのかを突き止めること。
そうしないと治療を始められませんから。
正しい診断が付けば治療効果はあるはずです。
ただ、現実には複数の問題があることも多々ありますので
実際の診療は非常に難しいんですけどね。

| comments (0) |

コメント

コメント投稿

【必須】



【必須】

  • トップページ
  • 診療について
  • 当院のご案内
  • 診療時間&交通アクセス
  • 避妊・去勢手術について
  • 検診のご案内
  • スタッフ紹介
  • お知らせ一覧
  • ニュースレター
  • お問い合わせ

院長のブログはこちらから

読み込み中・・・

このサイトはjavascriptを有効にしてご覧ください。また読み込みにお時間がかかる場合がございます。

Calendar

<< 2024年05月 >>

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
690-0015 島根県松江市上乃木4-29-21 Tel:0852-31-6119 (診療時間) 午前 9:00〜12:00 午後 4:30〜07:00 (休診日) 休診日は、日・祝日です。 (注)水曜日午後は手術日としており大きな手術を行っています。水曜日午後と夜間は電話が留守番電話に切り替わります。

当院は診療料金を現金の他、クレジットカード(VISA・MASTER)、WAONで支払いいただけます。

※支払い回数は1回のみです。
※WAONのチャージはできません。