岡本動物病院

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院長のブログ

不全と言う言葉

院長 / つぶやき / 2017.12.15 11:19

むやみに使うことなかれ、ですね。

不全と言うのは「全くダメ」になった状況ですから
「もう治らない」あるいは「もう元には戻らない」と言う時に使った方が良いと思います。
しかし世の中には「○○不全」と診断されることが多いようで
それはおそらく「不完全」と言う意味で使っているのかな?と想像します。

一番多くみるのは、聞くのは
「腎不全」でしょうね。

これは腎臓病セミナーでも講師の先生から言われますが
腎不全の定義をしっかり理解せよ、と言われます。

例えば犬でBUNが40程度CREが1.6程度だとした場合
これを腎不全と言っていいのか?と言うことです。
正しくは「腎臓機能障害」と言うべきで
また「不全」ではないからです。

昔、ある獣医が
「BUNが80もあった腎不全の犬が云々」と言ってまして
ちょっと引っかかったので
「その他の項目はどうだったんですか?」と聞くと
CREが1.0(ぐらいでした)と言うことで
「そりゃ腎臓じゃないでしょ」と言ったら
非常に機嫌が悪くなりました。

学術的なことを書いているときりがないので割愛しますけど
BUNだけで腎不全なんてことは絶対にありません。
そもそも血液検査だけで腎不全かどうかなんてわかりません。

腎臓は尿を作る場所であることは小学生でも知ってます。
つまり腎臓という尿を作る工場がちゃんと動いているかどうかを
確認するには、工場で作られた製品をチェックしなくてはダメでしょう。
つまり「尿」を調べないと工場の中身はわからないということです。

近年は血液検査から早期に腎臓の障害を見つけることもできます。
しかし尿検査をすっ飛ばしていいということにはなっていません。
そして画像診断も重要になっています。

当院ではそれらをすべて行ったうえで
最終的な診断名を付けます。

これは「普通」のことですし
血液検査だけ、あるいは尿検査だけでは
中途半端すぎるんです。

もっと言うなら「腎不全」と言う漠然としたものではなく
例えば子宮体腎炎とか間質性腎炎とか言いたいですね。
それらの診断基準も明確になっているわけですから。

慢性腎臓病と慢性腎不全とは違う病態ですから
物事は出来るだけ正確に飼い主さんに伝えるべきですね。

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