岡本動物病院

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院長のブログ

アレルギー疾患

院長 / つぶやき / 2018.2.9 09:35

多分・・・多いんだと思います。

アレルギー性皮膚炎を疑った場合、検査を勧めると思いますが
血液検査(外注)を行い、原因物質を特定して
処方食と投薬、時にはインターフェロンを使ったり
減感作療法を行ったり、と言うパターンを勧める病院が多くなっていると思います。

しかし、当院ではこのような流れはほとんど行いません。
アレルギー性皮膚炎は皮膚に独特な所見がありますので
極端に言えば「見ればわかる」ので、アレルギー疾患でしょうね、となり
検査をする前に生活パターンの聞き取りをします。

専門医はみな異口同音に言いますが
この聞き取りをしっかりと行え、と。

なぜならばココに重要なヒントが隠されていることが多いからです。
しかし飼い主さんにしてみれば
「細かすぎる」
「しつこい」
「くどい」
「うざい」
となるかもしれません。
特に当院ではココに重点を置いていますので
はっきりと「嫌われる」原因にもなっているようですが
でも治療のためには絶対に必要なことなのです。

この聞き取りはどんな検査にも勝ると思います。

そして安易に処方食は勧めません。
食生活に関してはちょっと古いデータですが
「食生活内の問題点を取り除くことで全アレルギー疾患の60%は改善できる」
と言う論文がありました。
そして最近では
「腸内環境の悪化がアレルギー発症に関わっている」
と言う論文も出ました。

つまりアレルギー用の処方食まで使わなくとも
アレルギー症状を抑えることが出来るかもしれないんです。

これは飼い主さんにとってもいいことじゃないでしょうか?
処方食はそれなりに根拠に基づいていますので
有効なものであることは間違いないですが
非常に高価です。
これは家計を預かる方にとっては非常に大きな問題でしょう。

実際当院ではアレルギー用の処方食は常備していません。
と言うのはそれがホントに必要な症例が少ないからです。

全アレルギー疾患のうち食事性のものは
わずか10%以下です。
これが事実です。

腸内環境のことについては以前からその可能性は指摘されていましたし
個人的にもそれはあるだろうと思ってました。
だから独自に食事内容のチェックを聞き取りし
体に良くないものは、アレルギーとは関係なしに
除外するよう飼い主さんに指導してきました。
そして食事に関しては、一般食、つまり
ホームセンターなどで売られているものを
中心に「これがいいんじゃないかな」と勧めています。

それはかかる食費を抑えつつ
症状の発現も抑えようと言う目的です。

後は症状、つまり一番問題になる
「体の痒み」と「下痢などの消化器症状」を
抑えるための投薬処置を行います。

痒みに関しては飼い主さんにとってももっとも気になる症状です。
だからこれを早急に抑える必要があります。
一般的にはステロイド剤を使用しますが
ステロイドを使用するに当たっては
体全体に対する作用、つまり皮膚の掻痒を抑える以外の作用ですから
ほとんどは副作用ということになりますが
これを念頭に入れて薬の処方を行います。

特に犬では副作用が出やすいので
いつもそのことは頭に入れつつ、です。

ステロイド以外の薬を使う場合には
こちらが気にするのは、これまた価格の問題で
ステロイド特有の副作用はないけれど
どうしても価格がステロイドよりも高くなります。
短期的に使うのであればまだしも
アレルギーの場合には「完治」と言うことはほぼありませんから
継続投与となると結局かかる費用が膨大になってきます。

検査や処方食、そして薬も価格を気にしないのであれば
色々出来るんでしょうが
頭を使って知恵を出していけば
余計な出費は抑えられるはずです。

現に当院ではそうやって来ていますが
アレルギーのコントロールが難しいと思うのは
飼い主さんの協力が得られない場合だけですね。

昔のことですが、慢性的に体を痒がる犬がいまして
食事内容を聞いてみるとどうやら鶏肉に対して反応するようでした。
これは家族性(繁殖されていましたので)で確認できましたので
検査をするまでもなく、原因物質がわかったような事例でした。
そこでこちらが提案したのは減量に鶏肉を使っていない
一般食を選んで、それを与えるようにと言いましたところ
「じゃあ、治ったら元の食事に戻して良いんですね」と言われ
びっくりしたことがありました。

どうやら繁殖者としてのプライドがあったようで
自家繁殖した子犬をあちこちに売っていたので
それらの人に「こういう食事を与えなさい」と
言いまくっていたのに、こちらがそれについて駄目だししたのが
気に入らなかったようです。
実は子犬を引き取った方も何人か来院されていたんですけど
すべての子犬が同じ食事で、同じ症状を呈していました。
その中にはこちらの言うとおりにしてくれた人もいましたが
言うことを聞かない人もいました。
結果は明確に出ました。
鶏肉を除外したフードに変えた犬は症状が軽減し
継続していた人はどんどん悪化していきました。

素人判断は結構ですが、プロと競ってもなんらメリットは無いです。
こちらは治したいだけですので、食事変更を指示しても
処方食を使っているわけではないので
私のフトコロには一銭も入らないんですから。

お金は、有り余っている人はいいでしょうけど
生きた使い方をしないと、ホントにもったいないです。
アレルギー疾患は完治が無いと書きました。
長い時間付き合っていかないといけませんから
かかる費用はトータルで考えると膨大です。
無駄を省いて最短距離で症状を軽減すると言うのが治療の本質だろうと思います。

かっこよく言えば
いかに金をかけず治療するか。
これかな、と思いますが。

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