岡本動物病院

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院長のブログ

アレルギー治療は長くなりますよ

院長 / つぶやき / 2018.3.29 10:55

まずこのことを頭に入れて欲しいものです。

大雑把に言えば、アレルギーは治すのではなく痒みをコントロールのが目的です。
だからちょこっと薬を与えただけでは治りません。
もっと言えばアトピー性皮膚炎となれば、これは絶対に治りません。
なぜなら「体質」だからです。

痒みと痛みは同じ神経を介して脳へ情報が送られます。
程度が軽ければ「痒み」と脳は判断します。
程度が重ければ「痛み」と判断します。

つまり痒みといえども度が過ぎると痛みに変わるんです。

耳が痒い。
体が痒い。
これらを放置あるいは中途半端にしていると
痛みに変わってきます。

そうすると動物はその場所、つまり痛みの箇所を抱えているわけですから
患部はおろか酷くなると体すら触らせなくなります。

アレルギーは異物に対する過剰反応ですので
治療上重要なのは、何がアレルゲンとなっているかを探ることです。

まずは「食事」
食べているものの中に原因があるかもしれません。
そして「環境」
臭いを出すもの、強いものや
煙やスプレー状の吸引する可能性のあるものなど
色々と探っていき、少しずつでもそれらを動物の周りから除外することが必要です。

投薬としては「痒み止め」ということから始まりますが
一般的にはステロイド剤を使うことが多くなります。
しかしステロイドは短期投与では問題なく使えますが
長期投与になると副作用が出てくる可能性が高くなります。

アトピー性皮膚炎であればそれ専用の痒み止めもあります。
ただ人間で使われる「抗ヒスタミン剤」は動物にはほぼ効果がありません。

皮膚炎が持続し自傷行為によって皮膚に傷がつくと
容易に感染症を起こします。
そうなると抗生物質なども併用することになります。
ただこちらも長期的使用が必要なことも多く
その場合やはり副作用の問題が出ています。

きちんとコントロールできるのは
こちらの指示通り、原因と思われるものを除外している場合で
投薬について定期的に通院されている場合です。

治るどころか次第に悪化しているのは
こちらの指示を守っていない場合や
定期的通院をしない場合です。

心臓病でも腎臓病でもアレルギーでも同じことですが
治すのが目的ではなく(治らないからです)
いい状態をコントロールしていくことが重要なんです。

治らないなら病院に行っても仕方ない、と言う人もいますが
放置すれば「痛み」に変わりますので
体も触らせなくなった場合、飼育を継続することが難しくなってきませんか?

治療を継続している人でも
最初から継続するぞと言う人よりも
「えぇ?治らないの」と言う人も多くいます。
ただ、投薬などの治療をして痒みが治まって行く様をみて
治療の必要性を感じてくるようです。
そういう人は「痒がるのを見ているのはつらいから」と口にされます。
まさにその通りなんです。
出来ることなら完治させてみたいと思います。
しかしそれがなかなか出来ないので
こちらとしても口惜しいんです。

アレルギー性疾患の治療そのものは難しくはないんですが
継続する、定期的に通院するというのが一番厄介なんでしょうね。
これは心臓病などでも同じで
「薬を飲まない」と言われる人もいますが
そうなると治療そのものが不可能となります。
以前には「もっと飲みやすい、おいしい薬はないの?」と言った人がいました。
あればとっくにそれを使ってますよ、です。
何もわざわざまずい薬を選択するわけないです。

メーカーの方も色々工夫はしています。
薬に風味をつけてみたり
錠剤の粒の大きさを小さくしてみたり
頑張ってるんですよ。

いずれにせよ、病気が進行してくると
治療薬も同じものを使って、と言うわけには行きません。
より効果の強いものを選択せざるを得なくなりますが
その薬の価格はそれまで使っていた
例えばステロイド剤よりもはるかに高価なものになります。
しかもそれを継続しなければならないわけです。

病気の治療は高度になればなるほど
価格も上昇します。
程度の軽いうちにコントロールが出来れば
そのほうが安全でしかも安上がりです。

当院でアトピー性皮膚炎と診断してステロイド剤にて
治療コントロールしている犬では
長いもので10年近く経過しているのがいます。
ステロイドの減薬、休薬、増量などを繰り返していますが
これまでにステロイドによる副作用は見られていません。
アトピー専用の高価な薬も使っていません。
理由は簡単です。
定期的な通院を10年続けているからです。
ちなみにこの犬は花粉症も持っていて
毎年春と秋になると痒みが悪化する傾向があるんですが
痛みには移行していません。
そうならないように薬の量をコントロールしています。
車で片道1時間近くかかる遠方から来院されていますが
とても犬を大事にしているのがよくわかります。
そうでないとこんな治療を10年も続けられないでしょう。
だからこちらも「絶対に痛みには移行させない」と気合を入れています。

治療は我々獣医師だけで行うのではなく
飼い主さんとの二人三脚です。
病気に対する理解をもってもらって初めて
この関係は成立すると思っています。

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