院長 / つぶやき / 2018.5.31 22:23

と言うお話。

ネットサーフィンが趣味なんですが、まあそれは置いといて。

某国立大学での内視鏡手術の死亡事故（事件と言ってもいいレベルですが）について
記事が書かれていました。

それによると、内視鏡による腹腔内手術は
「傷が小さくて済む」とか「入院日数が短くて済む」などと言われているけれど
決して安全な手術とは言えない、という事でした。

別の雑誌で、こちらは獣医師の投稿でしたが
胆嚢摘出手術について、開腹手術と内視鏡的手術の比較検討がなされていまして
結論は「内視鏡的手術の方がいい」となってました。

さてどちらの意見が正しいんでしょうか。

まずは一般論として、内視鏡による手術は開腹手術にとって代わるものではないと思います。
開腹手術の方が視野が広いですから様々なところが見えます。
これはモニター越しに見ている画像とは全くレベルが違うでしょう。
そして、これが一番だと思いますが、開腹手術であれば指の感覚が直接伝わります。
つまり開腹手術の熟練者が、次なるステップとして内視鏡的手術をするという事であれば
理想的なんだろうとは思いますが、最初のネットの記事を書かれていた医師は
ご自分が胆嚢摘出手術を受けたそうですが、その際には迷わず開腹手術を選択されたそうです。
つまりより安全な方法を選択した、という事でした。
ちなみにこの医師の方、内視鏡的手術をこなせる熟練者だそうですので
どちらの方法が安全か、よく御存じなんですね。

自分でも胆嚢手術をしますので良くわかるんですが
内視鏡手術は、私には無理です。
雑誌に投稿していた獣医師は、胆嚢手術にかかる時間が
開腹手術で平均９０分、内視鏡手術で平均１２０分だそうです。
これでも内視鏡がいいんだという根拠はよく理解できませんけど
私の場合、胆嚢手術の平均時間は５０分です。
出来ればもっと早く終えたいと思ってますから
より時間がかかる内視鏡手術の方がいいとは全く思えません。
しかも動物の場合、人間より回復が早い生き物ですので
傷が小さくて済む、という利点は動物には当てはまらないです。

手術は人間の手で行う作業です。
ダビンチのようにロボット手術セットも存在しますが
人間の手に勝るとは思えないんです。

機械を使う方が先端医療というのも同意できないですね。
人の手による技術を高めたものの方が安全ですし
こちらのレベルを上げることの方が先端医療のような気がします。

自分がもし開腹手術を受けることになったとしたら
内視鏡手術はお断りするでしょう。

「バッサリあけて確実な手術をお願いします」

きっとそういうと思います。

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