院長 / つぶやき / 2022.12.8 11:06

変なめぐり合わせですけど、大体10年サイクルになってます。

意図しているわけではないんですが、セミナーや書籍などが
私の前に現れるタイミングがそんなスパンと言うことなんです。

最初にてんかんの勉強をする機会があったのは
もう20年以上前になります。
その当時は某大学の教授の講義を受けたんですが
正直言って

「意味不明」

でした。

用語が難解すぎて途中何度バックれようと思ったことか。
それでも我慢して最後まで聴講しましたけど
知識として蓄えるにはちょっと無理でした。

もっともその当時は知見がまだまだ少ない状態で
診断方法や治療薬も選択肢が少ない状態だったと記憶しています。

それから約10年後、もっと経過していたかもしれませんが
てんかんセミナーの案内が届きまして
正直前回のことが多少トラウマ的で乗り気じゃなかったんですけど
せっかくだから行ってみようかということで参加しました。

そうしたら以前わずかながら記憶に留めたことと比べ
全くと言うと大げさですけどあまりの違いにびっくりでした。

以前は「難解」「無理かも」でした。
その時は「なるほど」「そういうことかい」と言う感じでした。

おそらく知見や情報がたくさん集まって
ホントに必要な部分、つまり我々のような何でも屋の開業医が
最低限知っておくべきことというのが明確になっていたんです。
そう考えると最初の講義は専門家向けの事ばかりだったので
何でも屋にはハードルが高すぎたんでしょうね。

てんかんで一番難しいのは診断です。
血液検査やレントゲン、エコーと言う普段行っている検査では
診断が出来ない分野です。
専門医が行う確定診断となるとMRIやら脳波検査やら行うようですけど
それらは開業医には無理な検査法です。
だから安易に「てんかんです」と診断できないんですよ。

ではどうやって診断するか、と言うことなんですが
ここのところが一番知りたい重要な事項なんです。
これについてのマニュアルと言うか指針がどんどんと明瞭になってきていますので
開業医にとってはとてもありがたいことです。

そもそも初診時に診断をつけることは難しいです。
私は必ず最初の段階ではてんかん以外の病気、原因を考えますので
（大体そっちのほうが当たってます）
最初は治療が外れることがあります。
てんかんという病気の定義がありまして
2回目の発作時になってようやく診断が付くことが多いです。

そして治療ですが、こちらもどんな薬をどう使うかと言う部分で
今回約10年ぶりに情報誌が届きまして読んでいるところですが
アップデートがありましたね。

てんかんはそんなに多く遭遇する機会はありません。
かといって珍しいかと言うとそうでもないんです。
だから治療薬を用意していないといざという時に困ります。
今は治療薬のマニュアルがありますので
どれを使ったらいいかと迷うことは無いです。

現在当院では数頭のてんかん治療を行っている症例がいます。
そのうち大多数はいわゆる「本当のてんかん」ではなく
別の病気からの「てんかん様発作」を起こしている事例です。
そんな鑑別ができるのも、10年あおきのアップデートのおかげですね。

忘れた頃に情報が入ってきます。
それを見逃さずキャッチしておかないと
時代に置いていかれます。

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