院長 / つぶやき / 2023.7.10 21:43

治療は現在のこと
予防は未来のこと　だと思います。

治療というのは今目の前の出来事に対することです。
症状があり、検査の異常があり疾患が見つかったから行う行為です。
治療は先でいいよね、ということはないはずです。
また疾患というのは放っておいて治るということもありません。
悪化することはあっても。
それをしない、ということは現在の問題は改善しないとともに
未来も明るくはない、ということになると思います。

多くの飼い主さんはこのことはちゃんと理解されていると思います。

そして予防はリスクの回避とともに近未来のために行うものだと思います。
例えばワクチン接種は伝染病に感染することを防ぐための方法の１つです。
多くの国民が接種したであろう新型コロナワクチンもそうですね。
新型コロナウイルスに感染しないため方法ではないです。
ウイルスに感染した時にウイルスの体内増殖を抑え
症状の発現を出来るだけ抑えるためのものです。
ワクチンというのはそういうものです。

犬ではフィラリア予防もありますが
こちらは蚊の吸血活動によって媒介される寄生虫ですので
フィラリアに感染しないためには蚊に血を吸われなければいいんです。
でも２４時間それを継続するのは実際には困難なわけですから
蚊に吸血されてその際にフィラリアの仔虫を体内に入れこまれても
そいつを駆虫してしまえばいいわけです。
フィラリア感染は蚊によってうつされた仔虫が半年かけて心臓へ定着することで感染成立します。
ただしそれから臨床症状が出るのはもうしばらく、数年は先です。
そうなってからでは手遅れ…でもなく対処方法はあります。
とは言え数年かけて心臓や血管に損傷がでます。
それを元に戻すことは出来ませんので
やはり感染しないに越したことはないということになります。

現在のことが大事か
未来のことが大事か。

どちらも大事なことだと思います。

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