しない、出来ない獣医が増えているようです
外科、特に整形外科は顕著のようです。
先週同じ日に2例の骨折症例が来院しました。
いずれもかかりつけを受診し、それなりに断られ
他の病院へとあちこち電話をかけて・・・というパターンのようでした。
外科が必要な状況というのは、緊急であったり、生命の危険があったりする場合が多いです。
のんびり対処している場合じゃない、ということが多いですね。
また整形外科は基本的には骨折事例が多いですから
手術しなければ治らない、または変形癒合して障害が出てしまいます。
外科はいくら本を読み倒しても身につきません。
実際に体にメスを入れる作業をしないと。
それも100や200は数じゃない、とある有名な先生が仰ってました。
しかも整形外科となると100例経験するというのは相当な時間が必要です。
特に最近では骨折事例は非常に少なくなっています。
昔は放し飼い、交通事故が圧倒的に多かったんですが
昨今は室内飼育が普通になってきてますので
高いところから飛び降りた、抱いていて落とした、部屋で転んだというのが多いです。
整形外科は使う器具が特殊であり、他の手術に転用できません。
またそれぞれが非常に高価です。
道具を揃えていないと手術は出来ませんが
その道具を揃えるのも一苦労です。
また実際に使ってみないとその器具が自分にとって使えるのか使えないのかわかりません。
例えば骨を保持する器具がありますが
それだけでも当院には20本以上あります。
とは言えそのうち手術に使えるのはせいぜい数本です。
その他は買ったはいいものの使えないので無駄になっています。
また骨に穴をあける電動器具も安いものでも数十万円以上します。
きちんとしたメーカーのものであれば100万円では手に入りません。
今当院にある整形外科用機材の購入価格は・・・わかりませんけど
合計すると多分相当いい車が買えますね。
しかも手術する事例が少ないとなれば
ほぼ赤字です(笑)。
それを承知で今から勉強して道具を揃えて、と思う獣医はおそらく皆無でしょうね。
私が開業した頃は結構症例が来てました。
だから執刀数はそれなりに経験できています。
とは言え同じ骨折事例はないですから
過去の経験から技術をひねり出して執刀しているのが現状です。
とは言え私ももうすぐ還暦ですからいつまでも手術が出来るわけじゃありません。
ただ後進の指導が出来るほどのものではないですから
近い将来の不安はありますね。
特に整形外科に関しては、症例数が減ったとはいえいないわけじゃないし
今後も0にはならないでしょう。
誰ががやらなきゃいけないことですが、誰がするんでしょう?
都会なら症例数も多いでしょうからきちんとした技術を持っている獣医師もいます。
しかし田舎にはそういう獣医師がいないとなれば
飼い主さんは都会の獣医師を頼って遠方に行かないといけませんね。
私が開業した時に、都会へ行かなくてもここで出来ることはする
そういう獣医師になりたいと思っていました。
特に外科手術に関してはそれぞれの名手の先生に教えを乞いました。
時間もお金もかかりましたけどそれはそれで正解だったと思います。
今はただただ近未来の不安だらけですね。
| comments (0) |
このサイトはjavascriptを有効にしてご覧ください。また読み込みにお時間がかかる場合がございます。
当院は診療料金を現金の他、クレジットカード(VISA・MASTER)、WAONで支払いいただけます。
※支払い回数は1回のみです。
※WAONのチャージはできません。