先日東京でのセミナーを受講してつくづく思いました。
治療には大きく2つあるんですけど
1つは外科
もう1つは内科です。
外科は手術の術式を知っておかねばなりませんが
これについてはほぼ出来上がっていると言ってもいいでしょう。
新しい術式の報告はありますけど、これは我々一時診療の獣医師のフィールドではないです。
もっと高度なところでのお話です。
内科は要するに薬を使って治療するということになりますが
これについては次から次へと新しい情報がバシバシ出てきます。
ちょっとぼ〜っとしているとあっという間に置いて行かれます。
普段使う薬の多くは抗生物質とステロイド剤だと思いますが
今回のセミナーではその両方の話が出ていましたが
抗生物質に関しては、その乱用によっておこる薬剤耐性菌の問題が
すでに世界規模で問題となっています。
以前は医療だけのことでしたが今は獣医療へ波及しています。
もっともそれは至極当然のことで獣医師の方が抗生物質の乱用が昔からあります。
ちょっと信じられない使用方法として
「骨折しているから抗生物質」
「とりあえず抗生物質1回だけ」
こんなところから
「何でもかんでも抗生物質」
なんてところまで行ってますね。
ステロイド剤も然り。
こちらは不適切使用によって副反応が問題です。
使う機会は非常に多いのですが、計画的に使用しなければ駄目ですね。
過去に見聞きした信じられない使用法としては
「食欲増進剤だから」
「効かなくなったからどんどん量を増やす」
ステロイド剤は「何でも効きます」ね、確かに。
とりあえずで使うには便利っちゃ便利ですが
疾患の本質を隠して症状だけ一時的に改善させるので
「症状がマスク(隠される)される」と表現します。
本質が隠れてしまうわけです。
でも一時的に症状改善するので飼主さんも「良くなった」と思っちゃうわけです。
また投与量をどんどん増やすと当然ですけど副反応のリスクがうなぎ上りになります。
ステロイドの副反応は多岐に渡ります。
最悪生命にかかわる事態も起こります。
薬の正しい仕様については獣医師資格を持っているわけですから
知ってて当然、なのですが新しい情報が次々出てきますので
使用方法が少しずつ変わってきます。
要するに使っていい場合と使っても意味がない場合とが明確になってきていると言えばいいでしょうか。
セミナー会場は若い獣医師だらけでした。
私のようなロートルはほぼ皆無でしたね。
でもその中に入って教えを請わないと時代に取り残されてしまいます。
これは恐怖ですよ。
少なくともかつて習った方法を正しいと思ってやっているわけですが
それが今は「違うよ」になっていることを知った時
実際に薬を使っている事例がいるわけです。
マズいとかヤバいのレベルじゃないです。
昔ある先輩獣医師から聞いた話です。
「若い獣医師に外科の手技は教えてやれる。
でも内科の知識は、こっちのは古いから
金出してやるからセミナーでも学会でも行って
勉強してこい、と送り出している」
素晴らしいと思います。
この病院に勤務しているだけで
外科も内科もレベルアップするでしょうね。
私もそうありたいと思いましたが
うちには若い獣医師がいないわけで(笑)
そうなると私自身が動けばいいわけです。
脳に刺激を与えて老化防止も必要です。
でも都会に出ると歩かないといけませんねぇ。
こっちが堪えます。
今回はそれを見越して折りたたみ式杖を持っていきました。
重宝しましたね。
実は坐骨神経痛持ちなんです。
病院に行ってもいいんですけど
手術が不可避なので
そうなると1か月入院になっちゃいます。
皆さんに迷惑かけることになりますので
現役でいる間は病院には行きません。
引退したらのんびり入院生活しますよ(笑)。
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