院長 / つぶやき / 2013.9.19 12:44

避妊手術を受けたのに、発情が再開する
そんな症状です。

先日隠岐から連れて帰った猫がまさにそれでした。

手術は5年前に受けていて、後に「卵巣摘出」手術であったことがはっきりしています。
その手術を受けていながら、手術から1年後に発情が繰り返し起こるようになったという事でした。

これは手術の方法、つまり卵巣摘出に問題があったわけではありませんで
私の経験では猫にはたまに卵巣以外の所に卵巣組織がある、と言うことがあります。
いわば「奇形」と言うことになるんでしょうけど、それ自体は成熟した卵巣ではありません。

通常は左右の腎臓の尾側にそれぞれ卵巣は存在します。
猫では直径1ｃｍもない小さな円形の組織です。
そしてたまに、ですが、卵巣の周囲に水疱のような組織が見られることがあります。
時に卵巣動脈の方であったり、卵管の方であったり
1つだけであったり、複数であったり
色々なパターンがありますが、これについて以前先輩獣医と話をしたことがあります。
要は、それをどうするか？と言う事なんですが・・・
先輩獣医はそれがなんだかわからないから手を付けない、と言い
私は変なものは全部取ってしまう、と言いました。

結果としては「取った方が残すよりまし」だと思うんです。
今回の事例もおそらくそれだったのでは？と思います。



指先にあるのがその卵巣組織です。
向かって左側に卵胞があり右側には黄体があります。

こういう事例を私はこれまで何度か経験があります。
避妊手術を受けて、なおかつ発情が再開する場合には
まずはこれを疑ってみることが必要だと思います。

処置としては再度開腹して摘出することが一番ですね。

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