院長 / つぶやき / 2013.9.16 20:48

１５・１６日　隠岐の島へ行ってきました。

台風の影響もあり、行き帰りとも「大丈夫かな？」という不安もありましたが
幸い天気にも恵まれ、フェリーも欠航することなく、無事行って帰ってきました。

今回の往診では、３頭の猫を連れて帰ることになりましたが・・・
まず１件目。
５年ほど前に他院で避妊手術を受けたそうですが、手術から１年経ってから
発情兆候が見られるようになったとのこと。
当然、飼い主さんは不思議に思いますから病院へ問い合わすも
「そんなことはありえない」との返答だったようで、これでは納得いくはずもありませんね。
こういう事例はこれまでにも論文としても報告があります。
単純な話で、卵巣の組織が残っているだけのことです。
通常、そういうことはありえないといえばありえないんですが
論文として発表されているものを見ると、共通項がありまして
全て生後6ヶ月齢で手術が行われているものでした。
この数字がどういう意味を持つか、これは議論があるところでしょうが
当院での経験では、卵巣周囲に「妙な組織」があることがあります。
私はそういうものは全て取り除きますが、かつてある先輩獣医とその件について
話したことがあるんですが、その先生は取らずに残したそうです。
そして・・・見事に発情が再開したとのこと。
つまりその「妙な組織」こそが不完全かつ未熟な卵巣組織、ということでしょう。
こういう事例は猫では結構多く見られますし、たまに犬でも見られます。
実際にそれを病理検査に出したことはありませんが、「疑わしきは取る」と言うのが
外科の鉄則ですから、私は迷わず取り除きます。
と言うことで、この猫は開腹手術となります。

もう１件は、歯肉炎の処置を他院で受けたそうですが一向に改善しないとのことでした。
現地で口の中を見てみると、重度な歯周病変がありました。
どういった処置を受けたのか、聞いてみると薬剤投与のみ、ということでした。
歯周病処置は珍しいものではありません。
人間でも同じことですが、まず歯石除去を行い動揺する歯、
つまり歯根部まで損傷している歯は抜かなければなりません。
その歯こそが「病巣」ですから。
ということで、歯石除去と抜歯が必要です。

最後の１件は、ちょっと難しい事例です。
数年前から皮膚病ということで、他院で塗布薬を処方されて塗っていたけれど改善しないということで
今春の往診時に相談を受けていました。
患部を見てみると、どう見ても皮膚に異常があるように見えず
「自咬症」のようにも見えました。
そしてその際に、「毛を噛んでいるかどうか確認して欲しい」と提案し
塗布薬の使用を中止してもらいました。
そして今回、状態を確認してみると、やはり皮膚の異常は見られず
飼い主さんの観察によると同じところをしきりに舐める、毛を咬むという行動が見られたようです。
動物は「痛みのある場所」を舐めたり噛んだりすることがあります。
我々人間が痛いところをさすったりするのと同じです。
と言うことで、その部位に痛みや違和感を訴える原因があるのでは？と言うことで
その確認の検査をすることとなりました。

ケージに入れてフェリーに乗り込み入院犬舎に入ってます。
それぞれ隅っこに入ってこっちをじ〜っと見てますが
明日から早速、検査・手術となります。
帰りはみんな揃って飛行機で帰ることになります。
悪いところの処置を済ませて、出来るだけ早く家に帰れるようにしましょう。

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