岡本動物病院

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院長のブログ

麻痺

院長 / つぶやき / 2017.7.18 22:20

どうも勘違いが横行してますね。

数年前にもありましたが・・・

『犬の後ろ足が立たなくなった』と連絡があり
診察してみると、両後肢の麻痺がありましたが
話を聞いてみると他院を受診しており

『脳梗塞!』 と言われたそうでした。

脳梗塞ならCTは撮ったんでしょ?と聞いてみると
当然のことながら「撮ってない」とのこと。

まあ、当然です。
100歩 いや 1万歩譲って脳梗塞だとしても
下半身だけの麻痺なんてことはあり得ませんから。

飼い主さんが「脳梗塞」と診断(?)したんなら笑い話で済みますが
獣医がそう言ったという事で・・・笑うに笑えませんよ。

脳梗塞なら、CTはさておき、半身麻痺は残るでしょうが
それは

左右の半身です。
上下の半身ではありません。

当然のことですしね・・・

そして今日は「左右前足の麻痺」と言う症例でしたが
こちらは「脳炎」と診断されたとのこと。

脳炎ならば全身性の症状が出ますけどねぇ・・・
例えば痙攣とか。

しかし本症例は左右前肢の麻痺と
左右後肢の不全麻痺でした。

となると原因は頸椎が疑われるわけですが
ちなみに最初の発症は2年前とのこと。
それから投薬・注射をしたら治ったらしいです。
その時、処置をした獣医は

『奇跡だ!』

そういったそうですが、まあ確かに脳炎であったなら奇跡的回復だと思いますよ。
というよりよく助かったもんだと思います。

そして2年経って再び同じ症状が出て当院へ、という事なんですが
脳炎症状らしきものは全く見られず、です。
そして頸椎のレントゲンを撮ってみると
第2・3頸椎の変形性癒合がありまして
「前に首を怪我したことない?」と尋ねてみると
トリミング先で落下事故を起こしていたそうで
その直後から前足の麻痺がおこったそうでした。
という事は2年前の発症も首が原因だったんでしょう。
そう考えるのが普通だと思います。

脳神経疾患については獣医学は非常に遅れています。
しかしCTが導入されて以来、学会報告なども増えて来ています。
症状は人間と全く同じなんですよ。
脳梗塞であれ脳炎であれ症状は人間と全く同じです。

国家資格を持っている専門家ですから
診断には責任を持たないととんでもない誤解を生みますし
治るものも治らないですよね。
まあ、偶然と言うか、動物側が自分で治すこともありますが。

ちなみに今回の症例は動物が頑張った結果であり
その証拠に左右前肢の上腕部筋肉の委縮と
手根関節以下の筋肉の増大があり
肩関節周囲の可動域の減少と
頸部靭帯の硬化がありました。

限界を越えちゃったんですね。
今回治るといいんですが・・・
過ぎたるはなお及ばざるがごとし、とならなければいいなと思ってます。

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