痩せていてはダメなんですよ。
特に年をとってからは。
人の方の話ですが、アメリカで心臓病を患っている患者を
体格で二分しその後の予後についての調査が行われました。
二分と言うのは「太っている」と「痩せている」です。
どちらが長生きできたのか、と言うと「太っている群」でした。
これを受けて犬の心臓病についての調査が日本で行われました。
同じように「太っている群」と「痩せている群」に分けて。
その結果、太っている群の方が長生きできることがわかりました。
これはどういう事かと言うと、端的に言えば
「体重=体力」という事です。
体格の違いは脂肪量と筋肉量の違いです。
太っているだけでは筋肉がないので、理想は「ぽっちゃり体型」なんですが。
病気になると体力を消耗します。
それは病態の進行とともに顕著になってきます。
癌でも心臓病でも同じですが
進行して末期状態になると食事が取れなくなってきます。
体はその分、今まで蓄えてきた「貯金」を切り崩して命を繋ぎます。
それが脂肪であり筋肉なんです。
だから最後は「ガリガリに痩せる」わけです。
そうなるともはや病気に立ち向かうような体力はありませんから
急降下爆撃機のように一気に終焉へと向かいます。
人間には「中年太り」というのがありますね。
今まさに私もその真っ只中にいて困っていますけど。
体型が変わり、体重が増えていいことは何にもないように思えますが
実はこういうことになるのにはちゃんと理由があるようで
中年以降に体重が増えてしまうことで
免疫力が増強されるという事でした。
動物の方でも同じでしょうね。
年をとってくると体のあらゆるところにガタが出てきます。
例えば10歳近くなって痩せているとなると
色んな所に異常が出てきます。
当院では胆嚢手術をよく行ってきましたが
当院の統計では、胆嚢摘出した犬では
10歳過ぎて体重が減る犬は非常に少ないです。
それどころが若い時より体重が増えている犬が多いんですが
そういう犬には皮膚病が起こりません。
皮膚は免疫力の低下が顕著にわかる臓器です。
そして診ただけで異常がわかる部分でもあります。
胆嚢摘出を受けている犬には加齢に由来する免疫力低下が起こらないようです。
免疫力が低下しないという事は感染症にかかりにくいわけですから
色々な病気にもなりにくいからだとも言えますね。
元々胆嚢炎は老齢性疾患ですから
10歳ともなると大なり小なり胆嚢の異常があって当然です。
それがその年齢になった時にすでに胆嚢がないとすれば
胆嚢炎にはなりようがないですね。
年をとって体重が減る、と言うのはよく聞きますが
それはおかしなことです。
ホルモン分泌の加齢による変化を考えれば
体重は増えることはあっても減ることはないはずなんです。
それにも関わらず体重が減るという事は
それなりの理由があるんですが、そのうちの1つが胆嚢炎です。
これは断言できます。
胆嚢摘出をしている高齢犬は体重が減る要因が1つないわけですから
体重は増えることでしょう。
だから免疫力の低下が起こらないとするならば
こんなハッピーな話はないんじゃないでしょうか。
年をとってからの体重減少があると
それまでは何ともない生活をしていたように見えても
それ以降はそうはいかないでしょうね。
ゆえに体重は多めにあった方が良いんですよ。
健康長生きの秘訣だと思います。
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