巷で言われていることの否定が多く組み込まれてましたので安心しました。
胆嚢疾患で「肝臓系酵素」数値が上昇する、と言う獣医が多いようですが
これは全くの間違いです。
私も胆嚢疾患のセミナーの際に何度もこの話をしていますが
今日のセミナーでもこれをはっきりと言われていました。
ではなぜこんな話が出回っているのか?なんですが
今日の話の中から伺われたのは
そもそも胆嚢疾患の診断がきちんとできていないから、だそうです。
血液検査でALT・ALPに異常値が見つかった
エコーで胆嚢に異常が見つかった。
だから胆嚢炎が肝臓酵素の異常値の原因だ、という算段論法(?)がそもそもの間違いなんですね。
これは「胆嚢からはALTやらALPなどの酵素は出ない」と言う原則を知らないからでしょう。
では胆嚢の異常はどう説明するか?ということについては
『たまたまエコーで見えた胆嚢内の異常所見を酵素上昇の原因と思い込みたいだけ』とバッサリでした。
聴いてて痛快でした。
胆嚢疾患はエコーでなければ診断は出来ません。
しかしエコー所見から胆嚢疾患の状態を鑑別するには
相当熟練した獣医師でないと難しいです。
私でも100%とはいきません。
どうしてそんなに難しいのか、と言うと
胆嚢内の変化は「経時的に変化する」という事に尽きると思います。
極端に言えば1か月前と現在とではコロッと変わって見えることが多々ありますし
プローブを当てる角度がちょっとでも違うと全く違う画像になるので
常に同じ部位から検査するという事が必要なんですが再現が難しいからです。
また見えた画像をどう評価するか、と言う点でも見解が統一されていないもの問題です。
胆泥なのか、粘液嚢腫なのか、この区別が出来ない獣医が多いのですが
これはきちんとしたテキストが存在しないことに原因があると思います。
以前岡山で私が行った講演ではそれを踏まえた資料を作成しました。
教科書の代わりに使えるものとして、エコー所見と手術所見の画像を並べて作りました。
自分としては傑作なんですが、果たしてどれだけ使われているのでしょうか?
今日のセミナーの中で猫の胆嚢炎についての話もありました。
やはりエコー検査の所見が重要なカギになるんですが
これについても私の思っていたことと一致しましたので一安心です。
ただ1つ残念だったのが、胆汁の色味の違いについて質問してみたんですけど
これに対する回答が得られませんでした。
講師の先生も「わからないです」とのことでした。
誰かこれについて知っている人いないですかね?
どうしてもこの件を明確にしたいんですけど。
世界のどこかから論文が出てくるのをじっと待つしかないでしょうね・・・
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