院長 / つぶやき / 2017.11.9 17:34

そのほか　承認・未承認　効能・効能外使用などなど

有益な治療方法があるんだけれど
その薬は国内では入手できない、と言うことがありますと
我々一般開業医は「個人輸入」と言う手を使って海外から薬を輸入します。

海外から薬を入手する場合、動物薬であれば農水省
人体薬であれば厚労省への許可申請が必要です。

知らない人も多いかもしれませんが
獣医師は人体薬も使用可能なんですよ。
農水省はいい顔してないようですけど。

以前はこの許可申請が非常に面倒で
まずそれぞれの役所へ電話連絡し
書類を送ってもらいます。
その書類が複数あって細かなことまで書かないとダメなんですが
その内容が「それって必要か？」と思われることまで書かないといけません。

例えば・・・
「年間使用量を書け」とありまして
そんなの症例が来れば使うし、来なければ使わないし・・・
そもそもそんなに使うものじゃないし・・・
こういう場合でも適当に　もとい　想定してから記入します。

最近は代理店を利用することが多くなりまして
多少金額は高くなるんですが
書類全般を用意してくれるので楽ちんになりました。
正直なところ、書類書きは苦手というより嫌いなので
誰かがやってくれればそれに越したことはないですね。

これらは日本未承認薬を輸入して使うという合法的なものです。
ただし大学病院ではこれが出来ないみたいですね。
ルールが厳密なんでしょうけど、その点は開業医の方がフリーなだけ便利です。

ただし効能外使用についてはちょっと違ってまして
個人的にもあまりやりません。
時に例外もありまして、心臓病の治療薬では
説明書通りにはしておらず、学会やセミナーで聞いてきた内容を重視しています。
例えば1日1回の薬を1日2回としてみたりしますが
これは研究によって効能が証明されている方法ということですね。
確かにその通りにしてみると効果は覿面ですし
副作用も見られませんので、これはありだと思います。

しかしたまに首をかしげるようなこともありまして
例えば猫用の薬、つまり猫では認可されているものを
犬に使う、と言うのはダメなんじゃないのと思います。
犬と猫では薬に対する反応が全く違いますし
薬の代謝系も全く違います。

例えば今年発売された猫の腎臓病治療薬は
猫でのみ認可されたものですので当院では猫に使用していますが
たまに転院された来たもので犬なのに処方されている事例があります。

「新しい薬が出たから」と言う説明らしいですが
それは猫の話で犬ではありません。

泌尿器系の専門医の話では
猫で使うことすら疑問視する人もいますし
犬に使うなど言語道断と言う人もいます。
犬に使って猫と同等の効果が得られたという情報も入ってませんし
やはり猫用は猫に、と言うのが正しいでしょう。

これらが犬猫以外になるとすべてが効能外使用と言うことになるんでしょうね。
ウサギ用の薬とかモルモット用の薬と言うのはありませんから。
ただしこれらの動物においても研究の結果
その効果が認められているものは実際に処方します。

薬はリスクですから
特に未承認薬とか効能外使用については
我々獣医師個人が責任を持たねばなりません。
飼い主さんとの協力関係や信頼関係も必要です。
それを損なわないようにするのも
国家資格をもった人間の責任でしょう。

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