院長 / つぶやき / 2018.1.8 22:59

はてさてどれぐらいの時間がかかるでしょうね。

動物看護師の場合。
身に着けるべきこと、知識として頭に入れておくことなど考えると
まず3年では無理です。

動物とのコミュニケーションを取れて
保定を出来るようになるには
相当なイバラの道を歩き倒して
手傷を負って・・・5年と言ったところでしょうか。

知識は勉強すれば頭に入りますが
そもそもそれが嫌いなら永遠に無理ですね。
一口に「勉強する」と言っても何を、どこまでやるかが
わかっていないと前には進めません。
専門学校で習うこと、と言う以前に
高校までで習う、生物学、化学そして数学と国語が必須です。
医学もそうだと言われていますが獣医学も
自然科学ですので、これらの常識的知識は必要です。
時には飼い主さんに説明したり、学会で発表することもあるでしょうから
国語力も必要なんですよ。

さて獣医の方はどうかしらと言いますと
もっと厳しいでしょうね。
自身の過去を振り返ってみても
卒後3年じゃ全然ダメです。
5年でもまだまだ。
10年選手になると過去のデータがしっかり頭に入っているでしょうし
（これは絶対に必要です）
10年間新しい知見も次々と入れていっていれば
内科的なものは何とかなるでしょう。
外科の方はと言うと、執刀経験症例数が
1000例超えてくれば一通りのことは出来るでしょうね。
もちろん術後の成績が良好でなければダメですが。

1000例と言うと毎年100例こなしていれば10年でクリアします。
避妊手術や去勢手術はもちろん、整形外科、消化器外科など
基本的なことは同じで重要なのは剥離技術と縫合技術ですから
1000例ならまあ何とかなるでしょうね。

整形外科の大家の先生が1000例と言う数字を口にしていました。
その時は「整形だけで1000例は無理」と思いましたね。
そもそも一般開業医のレベルで整形症例が年に100例なんて
ありえないですから。

私が外科的な事柄について自信を持てるようになったのは
20年過ぎてからですね。
症例数で言えば3000例超えてからです。
そこまで行くと経験のない術式でも
教科書を見ればイメージが浮かんできます。
簡単に言えば「教科書に書いてある通りに出来る」という事です。
もっとも基本的な解剖学が頭に入ってないとダメですけど。

獣医学は医学の後追い学問だと思ってます。
内科的なものも外科的なものも医学のそれを
模倣あるいは踏襲している場合が多いんです。
だから医学的な内科知識と外科知識も
レベルを上げるには必要な情報です。
もちろん医学の情報がそのまま獣医学には当てはまらないことも多いので
その「差」を知らねばなりませんが。

こう考えてみると、漫画の世界のようなことは
まずもって起こらないですね。

『若き天才外科医』とか
『私、失敗しないので』というのは
現実的なものではないですが
観ている分には面白いですね。

でも考えてみればこういうのって医学や獣医学に
限ったことではなくどの業種も同じじゃないのかなと思いますが。

1年目は新人で
2年目はちょっと慣れてくるのと出来る出来ないがわかってきて
3年目には何となく出来る気分になってちょっと調子に乗っちゃったりして
まあそんなとこでしょう。

ウチでは・・・
3年間とにかく仕事しろ。
そうすれば目の前に大きな門が見えてくる。
それが「一人前になる門」だから
その扉を自分でこじ開けろ。
そこから先が本当の「試練」が待ってるよ、と話しています。
ホントに楽しくなるのはもっともっと先ですけどね・・・

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