岡本動物病院

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院長のブログ

アレルギー検査

院長 / つぶやき / 2018.1.30 22:45

先日某メーカーさんからもらった資料を読んでいます。

アレルギー性疾患についての総まとめ、と言う感じの資料なんですが
検査の部分、これが一番気になる所なんです。

他院からの転院あるいは紹介の場合に
「血液検査で〇〇が陽性ですので〇〇のアレルギーがあります」と言うのをよく見ます。
某大学からの転院事例でも同じようことがありました。

大抵の場合私からすると
『これってアレルギーなのか?』と疑問を持つ症例が多いです。

そもそも血液のIgE抗体検査には懐疑的ではあったんです。
これの解釈を平たく言えば「過去に体に入ったことがあるよ」と言うものですから
血液中の抗体があるからと言ってそれがアレルゲンとは言えません。
実際にいろんな文献を読んでも血液検査の結果がアレルゲンと一致する確率は
25%程度とされています。

免疫学の専門家に話を聞くとよくわかります。

アレルゲンを特定するのであれば
まず血液検査をする。
次いで陽性反応があったものについて皮内検査をする。
それで陽性であったものについて、実際に生体に投与する。
その結果症状が見られたものが『アレルゲン』であると確定する。

これが正しい「原因追究」です。

今読んでいる資料には
「臨床医は血液検査をしたがるけれど、それは学会や検査会社から勧められているからだ」
と書かれています。

こういう検査が無意味とまでは言いませんが
治療上は大して必要なものじゃないと思ってますので
当院では今までに1回しか実施したことがありません。

かかる費用と効果を考えると全然割に合わない検査だと思いますが
検査とはそもそも何なんだ?と言うところに話が行くんですけども

検査とは確認作業である、という事です。

何だろな?で行うものではなく自分で「これじゃないか」と疑った場合に
それを裏付ける証拠固めであると考えています。

例えばアレルギー性疾患では、多くは皮膚症状だと思いますが
アレルギー性皮膚炎はほとんどの場合「見ればわかる」と思うんです。
もちろん知識と経験がものを言いますよ。
アレルギー性皮膚炎は独特の「顔」をしてますから
見ればわかるという事です。
そこから次に行うのは「聞き取り」と「提案」です。
どんな食事をしているか。
間食は与えているか。与えているならどのようなものか。
フードの商品名は何か。
シャンプーの種類や頻度はどうか。
他に飼育されている動物がいるか。
敷物や服の素材はどういったものか。
などなど思いつく限り確認します。
その中で問題がありそうなものを「除外」します。
それと並行して投薬治療を行います。
ステロイドが使えるのであれば使いますし
使えなければ非ステロイドの抗掻痒剤を使います。
合わせて抗生物質や抗真菌剤も使います。

いままでこうして診断、検査、治療を行ってきましたが
アトピー性皮膚炎以外はほぼ改善しますね。

皮膚病の診断については「木を見て森を見ず」になっていっていると思います。
いきなり局所をみてから検査と言う流れが多いようですが
まずは体全体を見て、それから徐々に近づいてクローズアップしていく方法であれば
無駄な費用をかけずに治療していくことができるはずなんですが
資料に書いてあるように、高度なとか先端医療って言葉に流されすぎなんじゃないかなと
思いますが。

人それぞれいろんな方法があってもいいと思いますが
皮膚病に関しては免疫学をしっかり学んでおかないと
横道にそれていくことが多くなるんじゃないの?と心配しています。
検査もいいですが無駄なことをすれば
それだけ飼い主さんの経済的負担を増やすだけですから
いい加減なところで止めた方がいいと思ってます。

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