院長 / つぶやき / 2018.2.26 22:55

知らなければ必ず見逃します。

正直なところ猫の胆嚢炎については
資料が少ないと思います。
そのため知らないという獣医も数多いことでしょう。

先日友人と話をしていても
彼は犬の胆嚢手術は数多く手掛けていますが
猫の胆嚢疾患については「診たことがない」と言ってました。
それは診たことがないのではなく
気付いていないだけだよ、と答えましたが。

体調不良を訴えて来院した猫に対して
どのような診断アプローチをしていくかというところで
鑑別診断に入っていなければ
必ず見逃しますね。

猫の胆嚢疾患が厄介なのは
犬でも厄介って言えば厄介ですが
犬よりもさらに臨床兆候が乏しいことです。
この症状があれば疑える、と言うものがあまりにも少ないんです。
しかし逆説的に考えれば、体調不良の原因がわからないという時に
エコー検査をして胆嚢をチェックしてみればいいんです。
そして猫の胆嚢がどういう形で存在しているかという
正常な状態を知っていれば、病的な場合にはすぐわかります。

結局のところ、正常ではないものが異常なわけですから
診断を付けるというのは極端に言えば「間違いさがし」です。

レントゲンの読影力をつける場合にも
まず最初に正常な画像をしっかり頭に叩き込んでいなければ
異常所見には気付きません。
正常ではないところを見つけて、そこに焦点を当てて詳しく調べていくのが
診断力、という事ですから。

今日も胆嚢炎の猫が来院しました。
すぐに診断が付きましたのですぐに処置へ入りました。
一般状態が悪いのでそれが回復したら
出来るだけ早く外科手術が必要だと思います。
完治のためには手術することが必要なのは
犬でも猫でも同じです。

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