岡本動物病院

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院長のブログ

咳の原因

院長 / つぶやき / 2022.11.29 16:46

検査してはっきりさせましょう。

ある飼い主さんが2頭の犬を連れて来院されました。
他院にて・・・

1頭は心臓がめちゃくちゃ悪い。非常に悪いと言われている。
もう1頭は健康そのもの、と言われている。

ということでしたのでまずは心臓がめちゃくちゃ悪い方の犬の診察をすることになりました。
症状としては「咳」で、とにかく咳が止まらない、ひっきりなしに出ている状態で
投薬は2種類出されており、片方の方がよく効くようだとのこと。
しかし効かないとされているもう片方の薬こそが心臓病の治療薬だったので
変な話だなぁと思いつつ聴診をしてみると心臓の雑音はほぼないかごく軽度でした。
それよりも呼吸音の異常音が著明でしたので、こりゃ心臓性の咳じゃないなと直感しました。

それで各種検査をした結果、咳の原因は心臓ではなく気管虚脱であることが判明しました。
心臓も軽度な閉鎖不全はあるものの現時点ではそう悪くない状態でしたので
こちらの方が原因の咳ではないことは明白でした。

そしてもう1頭。健康体とお墨付きをもらっていた犬ですが
高齢でもありましたのでついでに診ときましょうかぐらいのノリだったんですけども
聴診した瞬間に、明瞭な、これほど明瞭な雑音は久しぶりぐらいの雑音でした。
こちらはエコー検査のみ行いましたが、見事な血液逆流が見えました。
それでよくよく聞いてみるとこちらも咳はあった模様(ないはずがない状態)。

正直なところ、心臓の音と呼吸器の音を聞き間違えるというのは信じられませんけど
聴診だけで診断するというのは危険です。
聴診だけでは「異常がある」というのはわかりますけど
どこが?どの程度?というのはわかりません。
特に心雑音については初診の時は大きな雑音があったが治療してしばらくすると雑音が小さくなった、ということもあります。
これは良くなった、というのではなく大抵は悪くなっている、つまり病態が進行しています。

音の大きさは吹奏楽器に例えられます。
高音の出る楽器の音はよく聞こえますけど
低温の出る楽器の音は聞こえにくいですよね。
高音が出るということは空気の通り道が狭いからで
逆の低音楽器は空気の通り道が広いわけです。
つまり心臓の場合、弁の閉鎖不全が起こった頃というのは
隙間が狭いため大きな音となり聞きやすいわけですが
病態が進行すると隙間が広くなってきますので
雑音が聞こえにくくなるだけなんです。
だから聴診で「雑音が消えたな」という場合、確かに病態が改善していることも
ありますが、確認作業は必要です。

心臓の場合にはレントゲン検査とエコー検査は必須ですし
呼吸器の場合にはレントゲン検査と血液検査は必須です。
どちらかをはっきりさせるには血液検査、レントゲン検査、エコー検査が必須となります。
もっと詳しく、となるとCT検査になりますので一般の開業医では無理な検査ですから
大学などの施設で行う必要がありますね。

心臓性の咳と呼吸器性の咳は原因が違うわけですので
治療法も全く違ってきます。
症状は咳であり同じだとしても原因は違うんだよということですね。

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