岡本動物病院

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院長のブログ

随分間が空いてしまいました。

院長 / つぶやき / 2023.9.30 21:47

何となく日々過ごしているうちに9月も終わりになりましたねぇ。

最近多いのが手術症例、転院事例です。
他院で「手術は出来ない」と、様々理由をつけられて断られ
飼い主さんは困ってしまってあちこち電話をして・・・というパターンですね。

8月は同じ日に骨折症例が2件電話がありました。
整形外科はしない、出来ない病院だらけになってしまいましたね。
とは言えこれは今に始まったことではなくずいぶん前からそうなってます。
もっとも整形外科は経験がものを言いますし
また設備も必要なので、おいそれと手を出せないというのも現実です。
ただ同じ日に、という事でしたので手術を引き受けるのはいいんですけど
予定を組むのが大変でした。
結局、休日に午前と午後に分けて手術となりました。

また先日もヘルニアの手術依頼がありまして
電話では鼠経ヘルニアと聞いていましたが実際に診察してみると会陰ヘルニアでした。
まあそんなことはどうでもいいんですけど(笑)
電話ではヘルニアの手術をしてもらいたいという事だったのでやりましょうとだけ答えたような記憶です。
実際に来られて話を聞いてみると17歳という高齢だったので
こりゃどこでも断られるだろうなと思いました。
退院の時に飼い主さんから、あちこち電話をしたんだけどどこも断られて途方に暮れてました、と
いう事でしたので、そりゃそうでしょうねぇと同情を禁じえません。
ヘルニア自体の手術は簡単なんです。
ただ17歳という事でリスクはありますけどそれを含んで誰かがしなきゃ治らないわけです。
しかもヘルニア孔から脱出していたのが膀胱でしたから尿が出なくなっちゃってました。
そんな状態を放置しておけば間違いなく腎臓が壊れて死んでしまいます。
せっかく17歳まで長生きして最後がそんなことで死んでしまっちゃもったいないですから。
最初の電話では年齢のことは聞かされてなかったと思うんですよ。
多分飼い主さんも他へ電話した時に年齢を言って断られたんじゃないでしょうか。
結局手術を引き受けて実施しまして、1時間ぐらいかかるかなと思ってましたが
40分ほどで済みましたのでダメージも最小限で済んだんでしょう。
手術翌日には無事退院となりました。

手術が必要な事例は年をとればとるほどその機会は増えます。
これは人間も同じです。
でも決定的に違うのは、人間の医者さんは年齢を理由に手術が必要な患者に向かって

「年だから手術は出来ない」とか
「麻酔をかけたら死んでしまう」などとは言いませんよ。

もちろん手術するよりも内科治療で、という事もあるでしょう。
でも骨折やらヘルニアで内臓が飛び出しているものを
そのまま、というわけにはいかないです。

自分の身に置き換えてみれば簡単にわかる理屈です。
でも手術ですからリスクはあります。当然です。
後はそのリスクを承知で引き受けることが出来るかどうか、です。

私ももうすぐ還暦を迎えます。
いつまでも手術が出来るとは思ってません。
一応自分の中では「手が震えだしたらもう辞める」と決めています。
下半身がマヒしても上半身が元気ならまだメスを握るでしょうけど。
さすがに上半身が思うように動かなくなったらもう駄目でしょうね。
それがいつかはわかりませんがいずれやってきます。
そうなったらあとは誰が外科を引き受けてくれるのかなぁ、と常々心配ですよ。
とは言え本人にやる気がなければどうしようもないことですからねぇ。

昔ある著明な外科専門獣医師の先生と話をしたことがありまして
「やる気のある若いもんに外科の技術を教えることは出来る」
「でも継続しなきゃダメ」
「数(症例数)をこなさなきゃダメ」
「針の筵に置かれても耐えられる人間じゃなきゃダメ」
などなど様々な金言を頂きました。
その中でも一番ショックを受けた(良い意味で)のが

「100や200(執刀数)は数じゃない」

これは刺さりました(笑)。
人間の方みたいに外科で専門分野に特化していればこの言葉はわかりますが
開業獣医師で、同じ手術を100例こなすというのは、モノにもよりますが
不可能に近いかと、と思いました。その時は。
でも年齢を重ねてみると、確かにそうだよなと思うようになりました。
100例こなしても全く同じ事例というのはないわけです。
数をこなすにつれ色々なパターンを経験し、そうすることで
初めてのパターンに遭遇しても慌てず対処することが出来るようになる、
つまり引き出しが増えるという事なんです。

これまでの経験で言えば・・・
フィラリア摘出手術は100例を超えていると思いますが、200例はないですね。
骨折症例も同じで、100例は超えていると思います。
200例以上となると避妊手術、去勢手術を除けば
口腔外科と胆嚢摘出ぐらいでしょうか。
胆嚢摘出は数をきちんと数えていまして、これは500例を超えました。

ちなみに私の尊敬する整形外科の専門獣医師の先生は

「1000例超えてから威張れ」と(笑)。

胆嚢摘出手術でも、1000例を超えるのは・・・無理でしょうねぇ。
今からもう一回人生リスタートすればいけるかもしれませんが。

手術なんて最初はみんな下手なんです。
数をこなすことでしか上達しません。
失敗も、あってはならないんですが、実際はあります。
最初から上手くはないんです。
叱られたり叩かれたり貶されたりします。
それで尻尾を巻き込むのは簡単だし楽なんですけど
それでは上達しませんので、常に反省することで継続できるんだと思います。
リスクを背負うのは嫌なことなのかもしれませんけど
目の前の症例を見捨てるというのもなんだかな、と思います。
若いころはイケイケでしたので怖いもの知らずでしたが
年を取ると守るべきものも増えますし危険を回避するようになるのかもしれませんが
私はあまりそういうのはないので、とは言えイケイケというわけにもいきませんが
まあ出来ることはやるというスタンスでもうちょっとやってみようと思います。
永遠にというわけにはいきませんけどね。

| comments (1) |

コメント

お元気ですか?
胆嚢摘出500は凄いと思いますよ。500もすれば術後管理も様々な事があっただろうと思います。今後の犬達の術後管理に参考にさせていただきたいものです。
動脈管開存症の子は手術できずですが、元気に過ごしてます。薬はシルデナフィル限界量です。
又、難題にぶち当たったときはお願いします!

てるてる / 2023.10.16 00:08

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