近い将来本当に不安になりますよ。
先日大学時代の友人と電話をしていたところ
彼のところに某大学の学生さんがアルバイトがてらの実習に来ているとのこと。
そこで聞いた話として「大学に外科の教授がいない」とのこと。
それってホントの話?
こちらは違う大学の話ですが、外科実習を生体ではなく模型を使って行っているとのこと。
こうして知識だけを詰め込んで国家試験を合格して晴れて獣医師、という人が現場に出てきます。
そして現場に出てから外科に個人的に興味のある人は勉強して実践を行って・・・となるんですが
学生時代に基本的なことを学びそして体で覚えることはとても重要です。
もちろんそれだけでは全く不十分なので現場に出てからさらに研鑽を積む必要があります。
ただし外科は「ハイリスクハイリターン」です。
これは博打ではなく正当な医療行為ですから
イチかバチかみたいな考えの人がメスを握ってはいけません。
そんなことをしたら「合法的な動物虐待」となってしまいます。
何事においても100%安全という事はありませんね。
これは医療だけに留まらず、例えば道を歩いていても、です。
何が起こるかわかりませんから。
でも医療は科学です。
過去の出来事から良い悪いを学び、先人からの教えを元に
現代の知識を放り込んで出来るだけ真実にたどり着こうとしています。
そして治療方法というのが確立されていくわけですが
内科はそれでいいんですが、外科は人間の手作業です。
今話題のロボット手術と言ってもそれを捜査しているのは人間です。
外科手術が人間の手作業であるという事はそこに上手下手の差が出てきますし
技術の差が出てきます。
この技術を高める唯一の方法は「数をこなす」ことでしょうね。
ただ単に数をこなすのではなく、一つ一つを必ず振り返って復習することで
技術をより高めていけるんです。
これはどんな仕事でも同じでしょう。
技術を高めていけばそれが自信に変わります。
自信がつけば100%が無理でもそれに近づけることは出来ます。
そうなることが当たり前のことなのですが
それをしようとするときには「覚悟」がいるんです。
まったくもって昭和の考え方ですけど
これが多分真理なんだと思います。
どんな手術であれ鼻歌交じりでできるものなんてありません。
今だに必ず緊張します。
そして私自身も自分の技術が完ぺきではないことは承知しています。
過去であればもっとレベルが低かったと思います。
これをどこまで高めていけるか、これは獣医師になった時からの命題の一つですけど
数をこなすという事は必然的に時間が掛かるわけです。
そして今還暦を迎え、若いころに比べればそれなりに技術は磨けたと思いますが
いつまでも元気でいられるわけじゃないんです。
いずれ終わりが来ます。
その時にバトンを渡せる人が沢山いて欲しいんですけどね。
そういう獣医師を自分で育てた方が良いんでしょうけど
平成生まれの人が相手になりますから昭和方式が通用するかなぁ、と
でもコンビニエンスな方法はないしなぁ、とか
色々考えてしまいますね。
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