基本「手術一択」だと思います。
基本というのは、例外もあるわけですが、まずは基本のところから。
膀胱結石の場合。
何らかの症状(頻尿、血尿など)があり発覚することが多いわけですが
膀胱の中にある石は常時コロコロと転がっているわけです。
その結果粘膜を刺激して炎症を引き起こし時に出血もさせるわけです。
こういうことがずっと続いていると傷を受けた部分は修復する暇がないわけですから
最悪の場合、癌が発生します。
癌の発生メカニズムは多岐に渡りますが
膀胱の場合は以下のようになっています。
急性炎症 治癒すれば良し。治癒しなかった場合は
慢性炎症となり、治療してもなかなか時間がかかります。それでも治癒すれば良し。治癒しなければ
ポリープ形成します。ポリープ自体は悪性ではないですが、この段階で前癌状態となっています。
またポリープを治す治療薬もなかなかありませんので手術により切除が必要になります。
それで治癒すれば良し。治癒しなければ最終段階。
膀胱癌の発生となります。
全ての膀胱炎で癌になるわけじゃありません。
途中で治癒すればいいんです、が
中途半端な処置で終わっていると治癒することはないです。
膀胱に結石があり、それを放置するということはこういうことになる可能性がありますよ、ということです。
実際私はこれまでにそういう事例の経験があります。
胆石の場合。
胆嚢の中でコロコロ転がるのは一緒です。
それによって粘膜を損傷し出血させることも当然あります。
ただ膀胱と違うのは組織が膀胱ほど頑丈じゃないです。
そのため膀胱炎から膀胱癌になるまでに年単位で時間がかりますが
胆嚢は癌になるより破裂する可能性の方がはるかに高いんです。
実際私が経験した胆嚢破裂の症例は
胆石が原因だったものが一番多く、次は重度な粘液嚢腫でした。
胆嚢が破裂すると内容物が腹腔内に漏れ出てきますので
腹膜炎を起こします。
この時細菌感染を併発すると最悪です。
また外から見ただけでは胆嚢破裂はわかりません。
各種検査をしてようやくわかりますが、その時点で胆嚢破裂から
時間が経過していることが多く、手遅れになることも多々あります。
私の経験では胆嚢破裂か24時間以内であれば救命も出来ますが
72時間以上経過しているもので助かった事例は1例だけです。
例外的な石として腎臓結石があります。
腎臓結石も実際には切開沈着と結石の2つがありまして
前者の場合は手術できません or しません。
結石の場合でも相当大きくなって腎臓の機能障害が顕著にならないと手術適応はないとされています。
これは多少の問題があっても腎臓の機能、尿産生尿があるのであれば
出来るだけそのまま残す、というのが原則だからなのです。
このままにしていてもにっちもさっちもいかないね、となれば
腎臓を切開して中の石を摘出するか、腎臓ごと切除するかとなります。
とは言え腎臓ごと取るのはそれこそいよいよの時だけです。
個人的には腎臓切開より腎臓摘出の方が手術自体はやりやすいと思っています
腎臓切開は制限時間がありますし、術後の縫合がなかなか厄介だと思っています。
番外編として、石ではないですが似たようなものとして
歯石があります。
歯石もカルシウム系の塊が多いですから、石と考えてもいいかなと思います。
こちらは当然切除したほうがいいんです。
放置すると量が増え、歯肉を傷害し、歯が抜けてしまいますし
その場合骨まで障害されます。
また歯周病が酷い場合、排尿後にペニスや陰部を舐めることにより
尿道に結石が出来ることがあります。
これは尿道結石と言いますが、膀胱から石が落ちてくることもあるようですが
私の経験では歯周病菌の感染によるものの方が多いと感じています。
これらは症状がちょっと違います。
石は体にとって邪魔です。
出来ないに越したことはないですが、出来てしまったら摘出するが一番いいと思います。
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