
あまりいい言葉ではないのですが、今年に入ってたてつづけたもので。
先月、今月と1例ずつ診ました。
残念ながら病院へ到着時には既に亡くなっていました。
それゆえ死因は不明ですが、考えられることをできる限り検討してみました。
・いずれも初診
・いずれも猫であり年齢は9〜10歳
・性別はオス・メスで去勢・避妊手術済み
・体格はやや肥満気味
・これまで病気の兆候はない
・1例は室内で遊んでいたあとに倒れた。もう1例は外から帰ったあとに倒れた
・外傷はない
・嘔吐や下痢、あるいは苦しがった・痛がったなどの兆候は見られなかった
・1例は重度な歯肉炎を確認した
これらがその時にわかった事の全てです。
では、一体これらの猫に何があったのか。
一番考えられるのは「心臓麻痺」です。
いずれも中高年齢ですし肥満傾向がありますから可能性はあると思います。
また1例には重度な歯肉炎がありました。
猫の心臓病として一番に頭に浮かぶのは「心筋症」です。
これは心臓の筋肉が肥大して内腔が狭くなり、血栓ができてそれが動脈を閉塞するという恐ろしい病気です。
やっかいなのは直前まで目立った症状が見られないということです。
ただ、これまで診た例では「ギャ〜」という大きな悲鳴をあげて「狂ったようにのたうち回り」ということで来院されることが多いです。
なので、病院にきた時点ではまだ生きている事が多いのですが・・・
今回の事例ではそれらの症状がなく突然パタンと倒れてそのまま、ということでから、ちょっと違うのかなとも思います。
また1例では重度な歯肉炎がありましたから、ここから考えると「細菌性心内膜炎」という病気も考えられます。
口の細菌が歯肉炎の部分から侵入し、血管の中に入って血流に乗って心臓へ到達して、心臓内の弁膜に固着して
そこで増殖して弁膜障害を起こす、というものですが、こちらは基本的に細菌感染ですから
通常は発熱があり、元気・食欲が低下します。また不整脈や発咳が見られます。
細菌性心内膜炎での突然死というのは・・・経験がないです。
ただ、ひょっとしたら症状はあったけれど気付かなかっただけかもしれません。
それ以外での突然死となると、中毒性というのも考えられますが・・・
中毒性物質を摂取してすぐに死亡するというほどの猛烈な毒性物が果たしてそこらへんにあるでしょうか?という疑問がありますね。
中毒性反応ならば、通常は下痢や嘔吐あるいは痙攣などの症状があるはずです。
しかし今回はそれらの症状はまったくありませんでした。
元々持病があった場合、最初の心臓病意外だと、腹腔内臓器となりますが
肝臓や腎臓の病気があったとしても突然死というのは考えられないです。
あるとすれば「破裂」による腹腔内出血、でしょうけど。
破裂による出血となると、脾臓や肝臓が考えられますが、動物の場合これらが破裂しても
すぐに死亡するということはありません。
「ぐったりした」ということで来院し、検査して破裂を確認して緊急手術というのが通常です。
要するに時間的に若干余裕が有るはずです。
色々と考えてみますが、結局ホントのところはどうなのか、というのはわかりません。
解剖して調べれば死因を特定することはできるかもしれませんが・・・
ただ、私は獣医師ですから「何もないのに死亡する」なんてことがあるとは思いません。
必ず何か異常があるはずです。
元気だから大丈夫と考えるのは当然です。
そんな中でも今回のような突然死を防ぐ方法となると・・・
やはり定期的な検診しかないのかな、と思います。
ほんのわずかな変化を見極めて、疑わしいところを見逃さないようにチェックする、ということになるのですが
それを任される獣医師の責任は重大です。
| comments (0) |