
理論と実践、とでも言いましょうか・・・
何度かここでも書いていますけど、診察の基本は「問診・視診・聴診・触診」です。
それから次に進む場合、血球検査で特に最初はCBCと言われる検査です。
これは血球計算機という機械で数値を出します。
それと同時に血液塗抹染色を行い、こちらは顕微鏡を覗いて血球の大きさ・形・種類などを調べます。
次には化学検査(以前は生化学検査と称しておりました)で、これはいわゆる「内臓の検査」ですね。
これらの検査をした後に、異常所見があれば次に画像検査へ進みます。
画像検査とはレントゲン検査や超音波検査ですが、私は超音波検査が得意なのでこちらを先に行うことが多いです。
そして心臓の異常が疑われれば心電図検査や血圧測定などを行いますし
腎臓や肝臓の異常が疑われれば尿検査を行います。本来なら尿検査はもっと前にするのが理想ですが
尿を採取する作業が必要ですので後回しにしてます。
以上が、開業医が即日院内で行える検査だと思います。
さて、これらの検査を全ての症例に対して行うのか?と聞かれれば答えは「NO」ですね。
まず、最初の一番重要な検査である「問診」。
これでまず問題点を明確にします。逆に何もないとしたら、例えば予防注射だけで来院された場合などは何も禀告がないです。
ただ「ちょっと気になることがあるんですけど」と言われることは多々あります。
体調異常を主訴で来られた場合は当然禀告(異常の訴え)があるわけですから、そこはきちんと聞きます。
そしてこちらからも追加の質問をします。
それから「視診」を行いますが、これはいわゆる「見た目」のチェックです。
私は「全身スキャン」と呼んでいますが、この作業は周囲の人にはわからないと思います。
ただ、全身をくまなく見てます。
項目を挙げていくと・・・ここでは書ききれませんので割愛します。
それから「聴診」ですが、これは大きく分けると「胸」と「腹」です。
胸、とは心臓と肺と胸腔。腹、とは消化管と腹腔です。
その次は「触診」です。
触診は指先の感覚が勝負なのですが、指や手のひらに神経を集中させて触った感触や跳ね返り、あるいは腹腔内の状況
筋肉や関節の状況など問診に由来する箇所を調べます。ついでに手の甲を使って体温のチェックもしておきます。
時に「打診」というのも行いますが、これは胸や腹に空気や液体が溜まっている時にその確認のための作業です。
これらの作業を行うことで、問診から得られた情報と自分の体で感知した情報の照らし合わせをしてその時点での「仮の診断」をします。
ここまでで何も異常を感知できなかった場合は、大抵の場合「異常なし」ですので、次の検査へ進むことはほとんどしないです。
これが私の受けた教育、つまりは「実践」です。
こられの作業の精度が問題になりますが、これは経験を積むことで精度が上がります。
教科書を読んだだけの知識ではまず無理です。
名医になると、これら五感を使った検査だけで病気の原因を明確にできるそうですが、私は残念ながらまだその域には達していないですね。
機械はどんどん素晴らしい解析をするようになっています。
エコーやレントゲンの画像解像度は10年前とは全く別ものですし
血液検査の項目もとんでもなく増えて、得られる情報は莫大なものになっています。
とは言え、それらを見て診断を下すのは人間の作業です。
いきなり膨大な量の数字を見るより、自分の五感を使って異常所見を見つける作業の方が重要なことだと思いますし
何よりも(誤解をしないでくださいね)楽しい作業です。
それは例えば「足が痛い」という場合、痛みの有無は数値化出来ませんし、また痛みの程度も数値化できません。
それは触診でしかわからないことなのです。
その程度の圧迫が加われば痛みを感じるか、そしてどの程度の動きまで許容できるのかということを実際に患部に触って確認するしかないのです。
機械を使っての検査は、五感を使っての検査とは別種の検査であり、それがちゃんと出来ることこそが技術、だと思うんです。
これからも技術を磨いていきたいですね。
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