実はこれ、昔から言われていることなのです。
動物は少々の痛みや苦痛は「隠します」。
それゆえ早期ではなかなか気づきません。
しかし次第に我慢の限界がやってくるのですが、それは「あちこち」が悪くなってきて、複合的な問題が生じたから、というパターンが非常に多いです。
例えば、現在入院中の犬の場合。
元々他院を受診して、悲観的な診断が下っていました。
しかし当院へ転院後、あれこれ検査をしたところ、当初の診断とは違う結果となったわけですが、それはさておき・・・
現在、体の異常、つまり治療が必要な箇所は「脊椎」「心臓」「肺」「口腔」「胆嚢」「脾臓」「睾丸」「前立腺」の8箇所ありました。
想像するに、今回の体調不良の直接原因は「心臓」だと思います。そして元々持っていた「口腔」の問題が「肺」へ悪影響をもたらし、それとは別個に「脾臓」の問題が生じて血液性状の異常を起こした、と思います。
「脊椎」と「胆嚢」は老齢性の変化が限界を超えた、ということで、「睾丸」は先天性の問題がありましたが、これも老齢性変化から「前立腺」に問題を起こしたわけです。
もうちょっと具体的にしておきましょうか。
心臓は「僧帽弁閉鎖不全症と高血圧症」
脊椎は「変形性仮骨と椎間板疾患の疑い」
口腔は「歯根膿瘍」
肺は「細菌感染性肺炎とうっ血肺」
胆嚢は「胆嚢粘液嚢腫」
脾臓は「マスが多数散見された上での機能亢進症(血小板減少症)」
睾丸は「右鼠径部の片側陰睾」
前立腺は「老齢性肥大」
これが小さな体の中に全部揃っているわけですが、一度に悪くなったわけじゃないですよ。
時間をかけて徐々に進行して、表に分かる異変を示したのがここ最近、ということです。
要するに「我慢の限界を超えた」ということなんでしょう。
こういう事例は決して珍しくありません。
1つ1つの治療は難しいものではありません。
しかしこれらを同時に治療することは出来ません。
こんがらがった糸を少しずつ、しかし確実に解いていかなきゃいけません。
そしてそれには多少時間差が必要です。
こうなる前に我々獣医師は見つけなきゃいけませんね。
そうすればその都度治療ができますね。
ぐったりする前に手を差し伸べることができますね。
それこそが真の「予防医学」だと思うんですよ。
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